コラム

マーケティングにおけるペルソナの作成手順 | メリットや注意点も解説

基礎知識
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「Consumer is Boss(消費者がボス)」

これは優れたマーケティング施策で、数多くのヒット商品を生み出してきたP&G社に浸透する価値観です。

WebマーケティングやBtoB企業においても同様で、まずは顧客理解をしなければ、マーケティングは成功しません

顧客理解を深めるためには、ターゲットを具体的に絞ったペルソナ作成をして、関係者間で共有する必要があります。しかし、ペルソナの作成は奥が深く、まずはペルソナに関する理解を深めなければいけません。

本記事では、ペルソナとターゲットの違いや具体的な作成手順、注意点を解説していきます。

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1.マーケティングにおけるペルソナとは

マーケティングにおけるペルソナとは:
自社商品やサービスを利用する典型的なユーザー像のこと。

マーケティングでは、顧客の抱える課題を把握し、その課題を解決できる商品開発、および顧客に商品の魅力を伝え、購買してもらう必要があります。

この一連のマーケティング活動の起点となるのが、顧客の抱える課題の把握です。

顧客理解を深め、課題の特定をすることで、顧客が求める製品開発が行える。

そして、顧客理解を深めるためには、ターゲットの年齢や居住地、ライフスタイルなどを具体的に設定するペルソナ作成が有効です。

1-1.ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットは似ており、違いが分からない方もいるのではないでしょうか。

  • ターゲット:対象となる顧客を年齢や性別、居住地などの属性やセグメンテーションで分類したもの。
  • ペルソナ:ターゲットをより具体的に、一人の人物像まで具体的にしたもの。

解像度が高いペルソナの方が優れているのでは?と思ってしまいますが、そうとは限りません。

【例】

  • Web広告の属性設定では、マスを対象にするターゲット設定が有効。
  • 新商品開発におけるアイデアを得ることが目的なら、ペルソナ設定が有効。

ペルソナとターゲットは、目的に応じて使い分ける、もしくは併用するのがベストです。

2.マーケティングでペルソナ設定が重要な理由

マーケティング活動はペルソナ設定を起点に始まることが多いです。適切なペルソナ設定を行えば、数多くのメリットを得られます。

以下では、ペルソナ設定が重要な主な理由を紹介します。

2-1.顧客理解を深められる

テクノロジーが発展し、技術の模倣が容易に可能となった現代では、顧客理解を深め、顧客に良い体験を提供することが重要な施策となっています。

優れた顧客体験を作るためには、顧客を絞り込む必要があります。

大勢の顧客を対象にすると、顧客理解を深めることができずに、顧客の心に響く製品開発や広告作成はできない。

例えば、次の人物にプレゼントを贈るとすると、どちらを喜ばせられるでしょうか。

  • 恋人
  • 東京都に住む30歳代の女性500人

全員が恋人と答えるはずです。その理由は、不特定多数の人物よりも、特定の人物を深く理解しており、本人の期待を超えるプレゼントを選べる可能性があるためです。

この考え方は、マーケティングにも応用できます。年齢や性別、ライフスタイル、趣味嗜好などを具体的にしたペルソナ作成をすると、顧客理解を深められ、マーケティング施策を成功へ導けます。

2-2.製品開発のアイデアが生まれる

企業は顧客の抱える課題に対して、自社ならではの価値を加えた製品やサービスを提供する必要があります。

そのためには、顧客が抱える課題を特定しなければいけません。問題は、顧客自身も課題の把握を行えていないことです。

そこで必要となるのが「顧客理解」です。

ペルソナの条件に該当する顧客と実際にコミュニケーションを重ね、仮説検証を繰り返すことで、潜在課題が明らかになります。

すると、課題解決できる製品やサービスのアイデア創出へとつながるでしょう。

2-3.関係者間の認識をそろえられる

マーケティングには、商品開発部や営業部など、さまざまなメンバーが関わります。

全員の認識を合わせなければ、人物像にずれが生じ、効果的なマーケティングを行うことが難しくなります。

ペルソナを作成すると、全員の認識を揃えることができ、各部署で最適な施策を取れるようになる。

3.マーケティングのペルソナ作成手順

会議室にこもってのブレインストーミングだけでは、マーケティング活動を最適化するペルソナ作成はできないでしょう。

ペルソナ作成の手順は多々ありますが、以下では簡単に行えて効果的なペルソナ作成の手順を紹介します。

  1. 課題の確認
  2. 顧客ピラミッドの作成
  3. リサーチの実施
  4. 情報整理
  5. ペルソナ作成開始
  6. ペルソナの共有

3-1.課題の確認

課題を明確にしていない状態でペルソナ作成をしても、その後のマーケティング施策にはつなげられません。

まずは自社の課題を整理し、ペルソナ作成をする目的を把握しましょう。

【例】

市場にはない新しい製品アイデアが思いつかなければ、顧客が潜在的に抱える課題の特定が有効。ターゲット層を特定し、ペルソナを作成することで、既存にないアイデアを創出できる施策へとつなげられる。

また、課題を整理した結果、ペルソナを作成する必要がないという結論に至ることもあります。ペルソナ作成そのものを目的にしないためにも、まずは課題の整理と共有を徹底しましょう。

3-2.顧客ピラミッドの作成

ペルソナ作成では、主観の排除を行わなければいけません。そのためにも、十分な顧客分析を行い、実在する人物をモデルにペルソナ作成する必要があります。

よく使われる顧客分析のフレームワークが、顧客層全体を以下5つのセグメントに分類する「顧客ピラミッド」です。

顧客セグメント 認知 購買頻度
ロイヤル顧客 あり 高い
一般顧客 あり 中~低
離反顧客 あり 現在は購買していない
未購買顧客 あり 購買経験はない
未認知顧客 なし なし

カスタマージャーニーにおける顧客を包括的に含んでいるため、容易にターゲット層の特定を行えます。

顧客ピラミッドを作成するための十分なデータがない場合は、認知度と購買頻度を尋ねるアンケート調査の実施がおすすめ。

3-3.リサーチの実施

顧客を5つのセグメントに分類したら、各セグメントの顧客分析を行います。理想は、実在の人物を対象にしたヒアリング調査です。

5つのセグメントの顧客にインタビューすることで、ポジティブな意見とネガティブな意見が得られ、データの客観性を保てます。

インタビューに協力してくれる顧客を集められない場合は、以下のリサーチが有効です。

【営業担当者へのヒアリング】
顧客のことを最も知っているのは、営業担当です。複数の営業担当にヒアリングに協力してもらえば、詳細な顧客像が見えてきます。ただ、営業担当の主観が入らないように気をつける必要があります。

【SFAやCRMツールの活用】
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)、MA(マーケティングオートメーション)などのツールに蓄積された顧客情報は、ペルソナの作成に役立ちます。属性データや行動データの取得が行えるため、オウンドメディアやステップメールなどの、Webマーケティングにおけるペルソナ作りに有効です。

【インターネット検索】
インターネット検索を活用することでも、ペルソナ作成に必要な情報を集められます。例えば、コーポレートサイトの社員インタビュー記事や事例記事を見れば、人柄や1日の過ごし方、抱える課題などを発見できます。SNSやインタビュー記事なども、ペルソナ作成の貴重な情報源となります。しかし、インターネット検索から得た情報のみでは、ペルソナに偏りが生じてしまいます。

インターネット検索は不足情報を補う目的で使い、メインリサーチは他の方法で行いましょう。

参考記事

3-4.情報整理

リサーチを終えたら、情報整理をします。情報整理をすると、セグメントごとの行動や心理パターンを把握でき、課題やセグメント間のギャップの発見につながります。

【例】

ブランド認知をしつつも未購買の顧客が多ければ、未購買顧客のペルソナを作成し、一般顧客に変える施策を打つのが有効。

ペルソナは1つに絞る必要はなく、複数作成しても問題ありません。

しかし、属性の異なるペルソナが増えるほど、仮説検証に費やす時間が増えてしまいます。むやみにペルソナを増やすのではなく、必要数のペルソナを作成しましょう。

3-5.ペルソナ作成開始

5つの顧客セグメントからターゲットを絞ったら、実際にペルソナ作成を開始します。

ペルソナ作成をする際は、客観性を保つために、複数人のワークショップ形式で実施するのがおすすめ。

通常は、デモグラフィクスとサイコグラフィクスでペルソナを作成します。

デモグラフィクスとは、主に以下の項目で構成される統計上の集団の特徴です。

  • 年齢
  • 性別
  • 年収
  • 職業
  • 家族構成
  • 人種
  • 居住地

サイコグラフィクスとは、主に以下の項目で構成される心理的な特徴です。

  • 性格
  • 休日の過ごし方
  • ライフスタイル
  • 趣味嗜好
  • 行動の傾向

サイコグラフィクスを制作する際は、ターゲット層を代表するような実在の人物を参考にすると有効です。

3-6.ペルソナの共有

完成したペルソナは、顧客接点のある部署と共有しましょう。

【例】

営業部とペルソナを共有すると、営業担当は見込み客の課題やニーズを想定しながら、コミュニケーションを取れるようになる。

社内でペルソナを共有すれば、全員が同じ認識でプロジェクトを進められます。

4.マーケティングのペルソナ設定における注意点

ペルソナ作成はマーケティング活動の起点だからこそ、慎重に進める必要があります。ペルソナがずれてしまうと、製品開発や広告戦略でも期待通りの結果は出ません。

以下では、ペルソナ作成における注意点をまとめました。

4-1.BtoBの場合は企業属性を設定する

企業や組織が顧客となるBtoB企業は、担当者ペルソナと会社ペルソナを作成します。リサーチをしてターゲットを定めたら、以下の項目を考えましょう。

  • 業種
  • 企業規模
  • 事業内容
  • 売上高
  • 担当者の所属部署
  • 意思決定者
  • 課題

BtoB企業はヒアリング調査に最適な人物を集めるのが難しいため、コーポレートサイトやCRM、営業担当の声などが重要なリソースとなります。

4-2.心理データを活用する

ペルソナ作成時には、デモグラフィクスに基づく行動データとサイコグラフィクスに基づく心理データの両方を分析する必要があります。

行動データとは:

POSやCRMなどに蓄積された顧客情報、Webサイトのアクセス情報などの顧客の行動に関するデータ。

行動データと同じくらい重要なのが、心理データです。

心理データとは:

顧客行動の裏側にある心理的理由を示す。

行動データと心理データを紐づけることで、顧客インサイトの発見へとつながり、精度の高いペルソナを作成できるのです。

4-3.実在しないペルソナ設定はしない

ペルソナ設定でよくある間違いが、複数人で会議室にこもってペルソナ設定をすることです。

ヒアリング調査を実施せずに作り上げたペルソナは、あくまでも想像上のペルソナです。マーケターの思い込みや願望が入る可能性もあり、結果的に顧客ニーズとはかけ離れた製品開発へとつながるリスクもあります。

だからこそ、顧客と対話をしながら、可能な限りリアルなペルソナを作成する必要がある。

4-4.余計な情報は追加しない

現代のビジネスシーンでは、目まぐるしく状況が変化します。ペルソナ作成に時間をかけすぎると、ペルソナが出来上がったころには、競合状況や顧客心理が変化していることも十分に考えられます。

精度を保ちつつ、迅速にペルソナを作成するためには、余計な情報の検討やペルソナの追加をしないことが有効です。

【例】

  • BtoB企業がペルソナ作成をする際は、担当者の家族構成や趣味嗜好などは購買に影響を与えないため、検討する必要はない。
  • 購買動機や行動パターン、抱える課題が類似しているのであれば、異なる業界や属性であっても複数のペルソナを作るのは得策ではない。

ペルソナ数や検討項目が増えるほど、ペルソナ作成にかかる時間は増えます。迅速にビジネスを展開するためにも、必要な情報だけを含んだペルソナ作成を行いましょう。

まとめ

ペルソナ作成はマーケティング戦略の起点です。適切なペルソナ作成ができれば、関係者間の認識をそろえつつ、顧客理解を深められます。

ペルソナ作成で重要なポイントは、主観を排除することです。そのためにも、十分なリサーチを行い、客観的なデータでペルソナ作成をするようにしましょう。

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アドフレックス編集部

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