

ビュースルーコンバージョンとは、「広告を見たユーザーが別ルートでコンバージョンに達した数」のことを指します。
広告のクリック率やコンバージョン数の計測も重要ですが、効率的な広告運用を実現するためには、クリックされなかった広告の宣伝効果を正確に把握することも重要です。
そこで本記事では、ビュースルーコンバージョンの概要や計測条件、広告媒体別の設定方法などについて詳しく解説していきます。
1.ビュースルーコンバージョンとは
ビュースルーコンバージョンとは: 表示された広告をクリックしなかったユーザーが、別ルートでコンバージョンに達した数 |
なお、広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに達した数はクリックスルーコンバージョンと呼びます。
ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンの大きな違いは「表示された広告をユーザーがクリックしたかどうか」です。具体的な例を見てみましょう。


広告Aをクリックしなかったユーザーが、広告Bや検索サイトなどを経由してコンバージョンに至った場合は、広告Aのビュースルーコンバージョンとなります。
広告Aは直接クリックされていませんが、広告Aを見たことが「きっかけ」となって広告Bのクリックや検索行動に移り、コンバージョンに至った可能性は極めて高いでしょう。
購買プロセスが多様化している近年のデジタルマーケティングにおいては、広告がユーザーに与える「間接的な影響」の計測も大変重要です。各広告の宣伝効果を正確に把握できれば、より効率的な広告運用を実現します。
2.ビュースルーコンバージョンの計測条件と計測期間


ビュースルーコンバージョンの計測条件は、広告媒体によって異なります。主な媒体の計測条件は下記のとおりです。
媒体 | 広告が表示されたと判断される条件 | 計測期間 |
Google広告 | ディスプレイ広告は1秒以上、動画広告は2秒以上広告面積の50%以上が表示された場合 | 1・3・7・14・21・30日間から選択可能 |
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型) | 1秒以上連続して広告の50%以上が表示された場合 | 1日間 |
Facebook広告 | 1%でも表示された場合 | 1・7・28日間から選択可能 |
Twitter広告 | 1pixelでも表示された場合 | 1・2・3・5・7・14・20・60・90日間から選択可能 |
「計測期間」とは、広告の表示からビュースルーコンバージョンを計測するまでの日数です。計測期間が長いほどユーザーが異なる接点を持つ可能性が高くなるため、表示された広告の効果が正確に計測できなくなります。
商材や広告の目的によっても異なりますが、計測期間は「1日間」に設定するのが理想です。ただし、不動産や自動車といった高額商品で即決できないものの場合は、計測期間を長めにした方がいいでしょう。
3.ビュースルーコンバージョンの設定方法
ここからは、媒体別にビュースルーコンバージョンの設定方法をご紹介します。
|
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.Google広告
Google広告のビュースルーコンバージョン設定方法は、次のとおりです。
1.管理画面の右上の「ツールと設定」をクリック


2.「測定」から「コンバージョン」を選択


3.「ビュースルーコンバージョンの計測期間」で日数を設定


ビュースルーコンバージョンの確認手順は、次のとおりです。
- 管理画面の上の「表示項目」から「表示項目の変更」をクリック
- 「コンバージョン」から「ビュースルーコンバージョン」を選択して「適用」をクリック
3-2.Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)のビュースルーコンバージョン設定方法は、次のとおりです。
- 広告管理ツールの「ディスプレイ広告」をクリック
- 「ツール」→「コンバージョン測定」→「コンバージョン測定の新規設定」と選択
- 「コンバージョンの設定」を作成して保存
- 共有ライブラリーに戻り「タグを表示」をクリック
- 表示されたタグを計測したいページに設定
ビュースルーコンバージョンの確認手順は、次のとおりです。
- 管理画面の「表示項目」をクリック
- 表示項目の編集画面が開いたら「ビュースルーコンバージョン数」にチェックを入れて「適用」をクリック
3-3.Facebook広告
Facebook広告のビュースルーコンバージョン設定方法は、次のとおりです。
- 広告マネージャ画面の「キャンペーン」「広告セット」「広告」のいずれかをクリック
- 「列」→「列をカスタマイズ」と選択
- 「アトリビューションウィンドウ」の「編集する」をクリック
- 「ビュー」「クリック」の各項目で期間を選択して「実行」をクリック。
なお、Facebook広告ではビュースルーコンバージョンのことを「ビューアトリビューション」と表記しています。そのため、ビュースルーコンバージョンを確認したい場合は、広告マネージャ画面で「ビューアトリビューション」と表示されている部分をチェックしてください。
3-4.Twitter広告
Twitter広告では、ビュースルーコンバージョンのことを「ポストビューアトリビューション」と呼んでいます。設定方法は次のとおりです。
- 管理画面左上の「ツール」をクリック
- 「コンバージョントラッキング」をクリック
- コンバージョンイベントを選択して「ポストビューアトリビューション期間」から日数を選択
ポストビューアトリビューションの確認手順は、次のとおりです。
- 管理画面の「データ:その他」をクリック
- 「データをカスタマイズ」をクリック
- 「ポストビュー」から適切な項目をチェック
4.ビュースルーコンバージョン測定時の注意点


ビュースルーコンバージョンを測定する際には、次の2点に注意して正確な分析を行う必要があります。
|
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.データの分散と重複を防ぐ
測定方法によっては、データの正確性を確保できなくなる恐れがあるので注意が必要です。例えば、複数のサイトで同じ広告を見たユーザーの購買確度が高まってコンバージョンにつながった場合には、ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンが同時に発生していることになります。
しかし、データ上では最後にクリックされた広告のクリックスルーコンバージョンのみが計測されるため、きっかけとなった広告は評価されません。また、広告を見たユーザーが、後に「検索→コンバージョン」という行動に至った場合は、ビュースルーコンバージョンと自然流入が重複カウントされる恐れがあります。
このような問題を回避するためにも、計測ツールを統一してデータの分散や重複を最小限に抑えながら、広告を運用するようにしましょう。
4-2.動画広告は測定基準を変える
動画広告は、冒頭数秒の映像だけでは広告の内容が分かりづらいため、コンバージョンに結びついたかどうかの基準が曖昧になります。
例えば、30秒の動画広告を最後まで見たユーザーが別ルートでコンバージョンに達した場合には、ビュースルーコンバージョンの発生と考えてもいいでしょう。しかし、冒頭の数秒しか見ていないユーザーが別ルートでコンバージョンした場合は、動画広告の効果が判然としません。
ユーザーに与えた影響を正しく把握するためにも、広告表示の判断条件を「動画の50%以上が再生された時点」のように細かく定義する必要があります。
5.まとめ
今回の内容をまとめると、以下になります。
|
Web広告の直接的な宣伝効果だけではなく、間接的に与えた影響を計測して、的確な運用を実現させましょう。