マーケティングにおけるポジショニングの考え方 | 分析方法と事例も紹介
多くの製品群から自社製品を選んでもらうためには、他社製品との差別化や自社製品の優位性を決定づける「ポジショニング」の知識が必須です。
本記事では、マーケティングにおけるポジショニングの重要性と考え方を分かりやすく解説していきます。実際の事例も紹介しますので、ぜひマーケティング戦略立案の参考にしてください。
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目次
1.ポジショニングとは
ポジショニングとは:
他社製品との差別化を図りながら自社製品の特長を示すための戦略的な基盤。
数多くの製品群から自社製品を選んでもらうためには、ユーザーに魅力と価値を明確に提示して認識してもらう必要があります。ポジショニングを定めていないマーケティング戦略は、方向性が曖昧で不安定なものになってしまうので注意が必要です。
飲食店を開くのであれば、ターゲットを若い女性にするのか、安全なイメージを全面に打ち出すのか、贅沢な空間を演出するのかなどによって、店舗の名前や内装、客とのコミュニケーション方法はすべて変わってきます。
他社との優劣だけではなく、「ユーザーに魅力的な製品だと認識されるかどうか」を重視していくのもポジショニングの特徴です。自社視点で最高品質を訴求する企業も少なくありませんが、ユーザーが認識する価値は違うところに存在します。
2.ポジショニングの進め方
自社の製品が全く新しいタイプの商品なら、他社の既存製品と比較するだけでもポジショニングとして提案できるでしょう。しかし、ほとんどの場合は「他社製品に埋もれないためのポジショニング」を考える必要性に迫られます。このときに重要となるのは、ユーザーの購買決定要因「KBF(Key Buying Factor)」です。
例えば、デザインや機能、価格などを比較検討して、最終的にもっとも安い製品を選んだ人のKBFは「価格」になります。ただし、価格を重視するユーザーも、安さだけで選んでいるわけではありません。ユーザーは、常に複数の要素を考慮して商品を決めるのが一般的です。
各ユーザーの要素に合致した訴求をするには、自社製品のベネフィットを定めてから、ポジショニングを決めていく必要があります。ここで役立つのが、ポジションを視覚的・合理的に表す「ポジショニングマップ」です。
上図のように、戦略として有効な特徴を2つに絞って、2軸のマップに落とし込みます。多くの特徴を押し出したくなりますが、ユーザーがひとつの製品に対して強く認識する特徴は基本的に2つまでです。
デジタルカメラの場合であれば、「安い」「使いやすい」「デザインが優れている」「画素数が多い」といった多くの特徴があるでしょう。しかし、すべてを訴求すると逆に没個性的と捉えられてしまうため、他社製品との違いをアピールできなくなります。
併せて、独自のポジションを見つけることも大切です。自社が定めたポジションに競合他社がひしめいている状況で、優位に立つのは難しくなってしまいます。
3.ポジショニングマップの作成方法
ポジショニングマップを作成する前に、マーケティング戦略の立案で用いるSTP分析でセグメンテーションとターゲティングを行います。
STP分析とは:
顧客や市場を細分化(セグメンテーション)し、狙いを決め(ターゲティング)、自社製品の立ち位置を明確にする(ポジショニング)フレームワーク。
STP分析は、次のように進めます。
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
3-1.セグメンテーション
まず、市場を全体で捉えるのではなく、属性やニーズなどで細分化します。分類方法として、主に4種類の指標が用いられます。
- 人口動態変数(年齢、性別、家族構成、職業など)
- 地理的変数(地域、気候、人口密度、行動範囲など)
- 心理的変数(ライフスタイル、価値観、趣向、購買動機など)
- 行動変数(購買状況、使用頻度、購買パターン、ニーズなど)
3-2.ターゲティング
セグメンテーションによって市場を細分化できたら、狙いたい層を絞り込んでターゲティングします。ターゲティングは「6R」と呼ばれる6つの指標に沿って考えます。
- 市場規模は最適か(Realistic scale)
- 優位性は高いか(Rank)
- 成長性のある市場か(Rate of growth)
- 競合に勝てる可能性はあるかRival)
- 問題なくリーチできるか(Reach)
- 効果測定は可能か(Response)
6R分析する際は、特定の指標だけにとらわれず、総合的に評価しましょう。
3-3.ポジショニング
狙うターゲットが決まったら、ターゲット目線で自社製品の特徴や差別化ポイント、訴求ポイントを明確にします。縦軸と横軸からなるポジショニングマップを作成して、ポジショニングを決めていきましょう。
ポジショニングの軸は、冒頭でご紹介したKBF(ターゲットが購買を決める要素)で決めるのがポイントです。
縦軸と横軸は相関性の低いもの(独立性の高い2軸)を選びましょう。例えば、高価格な製品が多機能なのは当然なので、絞り込む2つの特徴を「価格」と「機能」にすると失敗してしまいます。
【ポジショニング軸の例】
- 価格:安い↔︎高い
- デザイン:シンプル↔︎派手
- 機能性:低い↔︎高い
- 操作性:簡単↔︎複雑
- 用途:一般向け↔︎プロ向け
- 感情:楽しい↔︎爽快
- 特徴:伝統的↔︎先進的
製品によってさまざまな軸が考えられるので、自社製品にふさわしいものをピックアップしましょう。
4.ポジショニングの事例
ここからは、ポジショニング事例をご紹介していきます。
4-1.カフェ業界
カフェ業界は棲み分けが比較的明確ですが、「低価格でこだわり」のコーヒーを提供するポジションが空いているように見えます。ここに目を付けたのが「セブンカフェ」などのコンビニ系コーヒーです。
「挽きたてのコーヒーが100円から気軽に飲める」というコンセプトで、爆発的人気となりました。上島珈琲などに比べれば味は劣るかもしれませんが、安さだけではなく「挽き立て」「豆から厳選」という魅力を訴求した結果、店舗型カフェの業績にも影響を与えたのは記憶に新しいところです。
4-2.ハンバーガー業界
ハンバーガー業界のなかでも、フレッシュネスバーガーは独自路線で成功した例と言えるでしょう。ハンバーガーチェーン店でありながらも「高級感があっておしゃれ」というコンセプトで、多くの固定ファンを掴んでいます。
5.ポジショニングの成功事例
ここからは、ポジショニングの具体的な成功事例をご紹介していきます。
5-1.既存市場と差をつけた「すき家」
2007年以前の牛丼業界は、働く男性を中心とした1人客をターゲットにした「早くて安い」というポジショニングで棲み分けができていました。
それまで吉野家が不動の売上トップを誇っていましたが、独自のSTP分析とポジショニングでマーケティングを展開したすき家が、2008年に牛丼市場のトップへと躍進します。
すき家のSTP分析
- セグメンテーション:外食市場
- ターゲティング:ファミリー層、女性客
- ポジショニング:気軽、安い
注目すべきは「セグメンテーション」でしょう。既存の牛丼業界とは異なる外食市場に目を向け、中食業界での躍進も実現させました。また、ファミリーをターゲットとしたため、ファミレスに並ぶ選択肢として「すき家」をイメージさせることにも成功しています。
5-2.独自のポジショニングが成功要因となった「ヘルシア緑茶」
特保飲料の定番として知られている花王のヘルシア緑茶ですが、緑茶業界への参入成功にはポジショニングが大きな役割を果たしています。
当初は、数多くの競合製品が並ぶ緑茶業界への新規参入は難しいと考えられていましたが、既存商品が若者をターゲットに設定する中、「肥満に悩む中年男性」をターゲットにポジショニングをした結果、緑茶市場の一角を担うほどになりました。
「体脂肪を燃焼させる緑茶」という大胆なコンセプトと他社よりも高い価格設定は、的確なポジショニングによって得られた強力な戦略と言えるでしょう。ターゲットの購買先を意識して、流通チャネルをコンビニに限定するといった差別化も明確です。
6.まとめ
今回の内容をまとめると、以下になります。
- ポジショニングはマーケティング戦略の立案に必須の知識
- 商品の優劣だけを訴求しても他社には勝てない
- STP分析の結果を踏まえてポジショニングマップを作成すると分析結果が分かりやすくなる
STP分析を行って自社製品のポジションを明確にすれば、マーケティング戦略の方向性も見えやすくなります。ユーザーが製品を選ぶ要因を2つに絞り、他社との差別化を図りながら自社製品の魅力を伝えていきましょう。
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