

「リスティング広告の運用レポートはどう書けばいい?」
「具体的にどんな内容を盛り込めばいいの?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。リスティング広告運用の中でも、レポート作成は重要業務です。広告運用にまだ慣れない時期は、どのようにレポート作成を進めればいいか、迷ってしまいますよね。
そこで、今回はリスティング広告の運用レポートの作成手順と全体の構成、注意点まで詳しく解説します。
作り方を押さえておけば、レポート作成は決して難しいものではありません。この記事を参考にして、読み手が納得する、分かりやすいレポートを作成しましょう。
1.リスティング広告の運用レポート作成手順
「レポートの役割がよく分かっていないけど、とりあえず手を動かそう」と思っていきなりレポート作成に取り掛かると、後で大幅修正が発生してしまいます。時間をかけずに有益なレポートが作れる手順をご紹介します。
1-1.誰に向けて書くかを決める
まず初めに、誰に読んでもらうレポートかを明確にしましょう。この点をあいまいにして進めると、伝えるべき内容が抜けてしまう可能性があります。
運用レポートの読み手には、以下が想定できます。
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知りたい情報は、読み手によって大きく異なります。経営層であれば広告の費用対効果、同僚であればキーワードごとの詳細なデータを知りたいでしょう。
また、前提となる情報や専門知識にどれだけ知見があるかで、伝え方も異なってきます。
レポート作成にあたっては、必ず読み手を意識して進めましょう。
1-2.レポートの目的を明確にする
次に、レポートの目的を明確にします。目的を明確にすることで、どんな情報を盛り込むかが決まります。目的があいまいなままでは、情報を並べただけのレポートになってしまいます。
レポートの目的としては、以下に関する判断材料にすることがあります。
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このような目的に対して、どのようなデータが必要かを考えましょう。また、目的を明確にすることで、データに対してどんな考察を加えるべきか、レポートの方向性も定まります。
1-3.リスティング広告のデータを集める
レポートの目的に沿ったデータを集めましょう。Google 広告やYahoo!広告の管理画面から、さまざまなデータをダウンロードできます。
Googleアナリティクスを活用すれば、ランディングページやWebサイトに関するデータを集められます。その他参考になりそうなデータがあれば、レポートに盛り込みましょう。
データは数値だけでなく、グラフ化するのがおすすめです。レポートに盛り込む際の作業が楽になり、視覚的にすることで考察もしやすくなります。
1-4.考察する
データが揃ったら、考察をしていきましょう。この際も、目的を意識することが大切です。
「リスティング広告の出稿継続」を判断するためのレポートであれば、以下について考察するとよいでしょう。
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相手の立場になり、判断するにはどのような要素が必要かを考えましょう。要素をレポートに盛り込むことで、有効な判断材料になります。
1-5.レポートを作成する
素材が一通り揃ったら、レポートの作成に取り掛かりましょう。レポートの形式には「スライド」と「文書」の2種類があります。スライド形式は、プレゼンで発表する場合に向いています。反対に、レポートを印刷して配られる場合は、文書形式を選ぶのがよいでしょう。
2.運用レポートの構成内容


伝わるレポートを作成するためには「何を、どの順番で書くか」が大切です。そこで、おすすめのレポートの構成をご紹介します。結論としては、以下の順番でまとめるとよいでしょう。
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各項目について、順に解説します。
2-1.リスティング広告の目的と概要
まずは、リスティング広告の出稿目的と概要を簡潔にまとめましょう。出稿している背景を知らない人にも、理解してもらうためです。
例えば、以下を箇条書きなどで整理するとよいでしょう。
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これらについて理解しているはずの人であっても、実際は認識が違っている可能性もあります。議論の前提を共有するためにも、最初に記載しておくことをおすすめします。
2-2.結論
目的と概要の直後には、結論を述べましょう。結論を先延ばしにしてしまうと、読み手はどう解釈すればよいのか分からなくなります。
結論は目的と対応させましょう。例えば「広告予算を増やすべきか」を判断する内容であれば、結論は以下のいずれかです。
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よくある失敗は、「成約数○件」「目標を上回る成果があった」など、目的とずれた内容を結論に置いてしまうことです。結論は、事実を述べるだけでは不十分。レポート作成者としての見解を明示しましょう。
2-3.根拠となるデータ
結論を述べた後は、根拠となるデータを提示します。結論が「予算を増やすべき」であれば、今回の成果が好調だったことが分かるものを載せるとよいでしょう。
レポートの目的が「進捗報告」であれば、以下の主要データを広く載せる場合もあります。
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さまざまなデータを載せたくなるかもしれませんが、要素が増えるほどに読み手は理解しづらくなります。注視すべき内容を厳選することが、伝わるレポートを作成する秘訣です。
2-4.課題と原因の考察
広告運用で生じている課題と原因を考察します。広告運用において、すべてが順調というケースはまれで、何らかの課題があるものです。よくある課題としては、以下があります。
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これらの課題を示したうえで、その原因として考えられるものを挙げましょう。なぜそう考えたのか、根拠や仮説をしっかり書くことも重要です。
2-5.今後の改善策
締めくくりとして、今後の改善策を示しましょう。広告運用の成果を高めるために、どんな施策を検討中かを示します。
課題とその原因を考察した場合、仮説検証のためのテストを行うのが一般的です。課題の原因として以下が考えられます。
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原因があると考えられる部分を改善し、一定期間運用することで検証できます。「どのように検証するか」を具体的に示すことで、検証が適当か判断しやすくなります。
2-6.補足:詳細データ
レポートの最後に、補足となる詳細データを掲載しておくとよいでしょう。
前述の通り、データをすべて盛り込もうとすると、論点がぼやけたレポートになってしまいます。とはいえ、データなしでは不安を感じる部分もあるでしょう。
そこで、詳細データは補足として最後に盛り込むことをおすすめします。こうすることで、本文中に載せるデータを絞り込みやすくなるでしょう。
詳細なデータを載せておくことで、「このデータについてもっと詳しく知りたい」という人がいた場合も確認しやすくなる。レポートの資料を使ってプレゼンする場合、質問を受けた際に、すぐにデータを映し出すこともできる。 |
どのページにどのような内容がまとめられているのか、情報を整理しておくことが大切です。
3.リスティング広告のレポートを作成する際の注意点


リスティング広告のレポートを作成する際の注意点をまとめました。事前に知っておくことで、回避しましょう。
3-1.読み手に合わせた表現を
レポートを作成する際は、読み手に合わせた言葉や表現を使うことが大切です。リスティング広告は「CPC」「CVR」などの専門用語が多いので、読み手が理解できるか配慮する必要があります。
広告運用に直接関わることのない相手に、専門用語は伝わりません。また、知らない用語が並んだレポートを見せられても、読む気が失せてしまいます。
その場合、CPCを「広告のクリック1回あたりの費用」と別の表現にするなど、相手に伝わる工夫を心がける。 |
反対に、運用チーム内で共有するレポートであれば、専門用語を使った方が伝わりやすくなります。
読み手が理解できる言葉、表現を十分に意識しましょう。
3-2.客観的な視点をもつ
レポート作成にあたって、客観的な視点を忘れないようにしましょう。
広告運用者によくあるのが、「広告運用を成功させなければいけない」といったプレッシャーが強くなるほど、データの解釈が主観的になってしまうこと。
【例】 CPAが悪化していて戦略の見直しが必要な状況でも「CV数が増えているので順調」といった主旨になりがち。 |
不利なデータも無視せず、等しく報告することが大切です。
また、課題の原因を検証する際には、自分の仮説に固執しないよう注意しましょう。
【例】 「クリック率が悪い原因は広告文にある」と仮説を立て、広告文の修正によるクリック率の改善にこだわりつづけてしまう。 |
しかし実際には、キーワード選定に根本的な原因がある可能性もあるのです。客観的に検証結果を確認して、仮説が正しくなさそうであれば、別の仮説立てをしましょう。
3-3.時間をかけすぎない
レポート作成に時間をかけすぎないようにしましょう。注力するあまり、他の業務がおろそかになるのは避けるべきです。仮に作り込んだレポートができたとしても、費やした労力のわりに読まれない可能性もあります。
どうしてもレポート作成に時間がかかってしまう場合は、レポート作成を効率化するツールを利用する方法もあります。
定期的にレポートを作る場合は、ツールを導入することで、定型フォーマットのレポートを手軽に作れるようになる。 |
レポート作成に割く時間や労力とのバランスを考えましょう。
4.まとめ
リスティング広告のレポートを作成するにあたって、「誰に向けて書くか」「何を目的にするか」を明確にすることが大切です。
レポートの構成では、早い段階で「結論」を示しましょう。こうすることで、読み手は何を読み取ればよいのかを意識できるので、内容を理解しやすくなります。また、注目すべきデータを明確にするため、本編に盛り込むのは重要なものだけを選びましょう。