コラム

【スクショで解説】カスタマージャーニーマップの作り方と作成ツール

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Baymard Instituteの調査によれば、約70%の顧客がカートに入れた製品を購入しないと判明しています。

顧客が時間をかけて製品の調査をしたにもかかわらず、購入に進まない原因は、低い顧客体験にあるかもしれません。

現在の顧客は平均して3~5つのチャネルで企業と接触している状況のため、各チャネルで最適な顧客体験を提供しなければ、問い合わせや購入などのコンバージョンにはつながらないのです。

各フェーズにおける顧客体験を最適化するには、カスタマージャーニーマップを作成し、購買プロセスにおける接点や顧客の行動・思考を可視化することが有効。

しかし、「カスタマージャーニーマップの作り方が分からない」や「簡単に作成できるツールを知りたい」と考えるマーケティング担当者が多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、スクショを用いながら具体的にカスタマージャーニーマップの作り方をご紹介します。

記事の後半には、おすすめの作成ツールや注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは:
認知から購買に至るまでの顧客行動や心理感情、顧客とのタッチポイントなどを時系列にイメージ化して整理したもの。

カスタマージャーニーマップの作成により、各フェーズにおける顧客のニーズやペインポイントなどを明確化できるため、顧客体験の改善、コンバージョン率リテンション率の改善などにつながります。

2.カスタマージャーニーマップが重要な理由

カスタマージャーニーマップは昔からあるフレームワークですが、顧客との接点が多様化した現代においては、その重要性がより高まっているのです。

Salesforceの調査では、顧客の80%が製品サービスと同じくらい体験を重要視していると発表しています。

現代の顧客は、Web広告やSNS・Webサイト・アプリ・店舗などのさまざまなチャネルを行き来して、情報収集や購買意欲を高めています。

各チャネルで最適な体験を提供できなければ、顧客は自社に関する興味を失うことになる。

カスタマージャーニーマップを作成すれば複雑な顧客行動や感情、目的、タッチポイントなどをビジュアル化でき、顧客理解を深められ各施策の最適化を実現できるのです。

3.カスタマージャーニーマップの構成要素

カスタマージャーニーマップの主な構成要素は以下の通りです。

  • ペルソナ
  • 購買プロセス
  • タッチポイント
  • 行動
  • 感情
  • ペインポイント

以下では、それぞれの要素について解説します。

3-1.ペルソナ

ペルソナとは:
自社製品を使う典型的なユーザー像のことであり、カスタマージャーニーマップの主役。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナの行動や感情などを記載するため、丁寧に作成しなければいけません。ペルソナの作成方法については、後述いたします。

3-2.購買プロセス

購買プロセスとは:
製品の認知から購買に至るまでの一連の流れであり、カスタマージャーニーマップの上部に設置する。

購買プロセスにはさまざまな種類があるため、自社に適したものを選ばなければいけません。主な購買プロセスは以下の通りです。

【AIDMA】
「注目」 → 「興味」 → 「欲求」 → 「記憶」 → 「行動」

【AISAS】
「注目」 → 「興味」 → 「検索」 → 「行動」 → 「共有」

【AISCEAS】
「注目」 → 「興味」 → 「検索」 → 「比較」 → 「検討」 → 「行動」 → 「共有」

【AIDA】
「注目」 → 「興味」 → 「欲求」 → 「行動」

3-3.タッチポイント

各購買プロセスにおける、顧客とのタッチポイントを洗い出します。タッチポイントの一例は次の通りです。

【購入前のタッチポイント例】

  • 広告(Web広告・CM・パンフレット)
  • Webメディア
  • 口コミサイト
  • ブログ

【購入時のタッチポイント例】

  • 店舗
  • 販売スタッフ
  • ECサイト
  • LP(ランディングページ)

【購入後のタッチポイント例】

  • カスタマーサービス
  • イベント
  • アフターフォロー

このようにカスタマージャーニーマップからも理解できる通り、タッチポイントは購買プロセスによって変化します。

3-4.行動

各購買プロセスにおける顧客との行動について記載します。

【例】
認知の段階なら「スマホで検索」や購買なら「LPより購入」など。

3-5.感情

顧客の行動の背景にある感情を記載します。

感情を記載することで、カスタマージャーニーにおいて顧客が自社ブランドへネガティブな感情を抱かないような施策の展開が可能になります。

3-6.ペインポイント

ペインポイントとは:
顧客が抱えている課題や悩みのこと。

顧客はペインポイントの解決を願って、製品サービスを購入します。

ペインポイントを特定することで、商材の訴求ポイントや伝えるメッセージの最適化などができる。

4.カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップの作成ステップは以下の通りです。

  • ペルソナの作成
  • 認知段階
  • 検討段階
  • 購買段階

今回は、多くの方がすぐに取り組めるように、Googleスプレッドシートでカスタマージャーニーマップを作成するので、ぜひ参考にしてみてください。

4-1.ペルソナの作成

先にお伝えした通り、カスタマージャーニーマップの主役はペルソナです。

適切なペルソナを作成しなければ、誤ったカスタマージャーニーとなり、期待した成果が出ない原因となります。それでは、正しいペルソナとはどのようなものでしょう。

正しいペルソナとは:
実際の顧客から集めたデータをもとに作成し、一人の顧客が想起されるまで解像度を上げたペルソナのこと。

ポイントは、半実在する顧客を作成することであり、そのためには顧客インタビューや顧客データ
顧客データをもとに、性別や年齢・職業・ライフスタイル・価値観などを考えましょう。

【ペルソナの作成例】

名前 安藤太郎
性別 男性
年齢 34歳
家族構成 妻(32歳)、息子(7歳)
居住地 東京都足立区
勤務先 Webマーケティング会社
年収 600万円
勤務地 東京都港区
学歴 大東文化大学経済学部
プロフィール 妻と子どもの3人暮らし。入社後は、営業部署へ配属されたが、入社2年目より現在のWebマーケティング部署に配属となった。現在は入社6年目であり、マーケティング部のオウンドメディア制作を担当している。
趣味 釣りやキャンプが好きで、週末には家族でアウトドアをすることが多い。
性格 明るく、何事も前向きにとらえることができる。ただし、自分に自信があるぶん、プライドが高い傾向にあり、素直さや誠実さに欠けることもある。
生活行動パターン 毎朝小学3年生の息子の登校を見送り、そのまま出勤する。現在は週3で出勤をしているが、それ以外はリモートワークをしている。息子の迎えは妻が担当しているため、18時の仕事を終えるまでは集中して業務ができる。帰宅後は、子どもの宿題を手伝うなど、リビングで過ごすことが多い。
悩み マーケティングにおいて経験値を積めたので、将来を見据えて独立を検討しているが、子どもがまだ小さくどうすればいいか妻にも話せていない。

ペルソナの作り方について、具体的に知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

マーケティングにおけるペルソナの作成手順 | メリットや注意点も解説

4-2.認知段階


まずはスプレッドシートに上記のような枠組みを作ります。

今回は「認知」「検討」「購入」の3つの購買プロセスに分けて、カスタマージャーニーマップを作成しますが、必要に応じて「比較」「共有」などのステージを追加してみてください。

ただ、ステージ数が増減しても、基本的な作成方法は変わりません。ここからは、子どもの無料体験レッスンの増加をゴールとする英会話教室運営企業を例に、カスタマージャーニーマップの作成を進めていきます。

購買プロセス 認知段階 検討段階 購入段階
顧客の感情
  • 子どもに英語を学ばせたい
  • 楽しく英語を学んでほしい
行動 子ども向け英会話教室についてリサーチ
タッチポイント
  • Google検索
  • リスティング広告
  • Facebook広告
自社の施策
  • ブログ記事の制作
  • リスティング/SNS広告の運用

まずは認知段階における顧客の行動や感情、タッチポイント、自社の施策を考えていきます。

ペルソナは「子どもに楽しく英語を学んでほしい」と考え、GoogleやSNSなどで子ども向け英会話教室についてリサーチするため、Google検索やリスティング/SNS広告などがタッチポイントになります。

顧客の行動やタッチポイントを踏まえると、「おすすめの子ども向け英会話教室10選」などのブログ記事やWeb広告でのリーチが有効でしょう。

4-3.検討段階

ある程度、情報収集をしたペルソナは、検討段階へと移ります。

検討段階においては、「本当に商材が必要なの?」や「どの製品がいいのだろう?」などペルソナが抱えている悩みを洗い出す必要があります。

購買プロセス 認知段階 検討段階 購入段階
顧客の感情
  • 子どもに英語を学ばせたい
  • 楽しく英語を学んでほしい
  • 子どもは英会話教室を続けられるのだろうか
  • 英語を好きになってくれるのだろうか
  • どの英会話教室が子どもに適しているのだろう
行動 子ども向け英会話教室についてリサーチ さらなる情報収集
タッチポイント
  • Google検索
  • リスティング広告
  • Facebook広告
  • 英会話教室のオフィシャルサイト
  • LP(ランディングページ)
自社の施策
  • Gブログ記事の制作
  • リスティング/SNS広告の運用
  • 感情に寄り添い自社サービスを選ぶべき理由を伝える
  • 楽しさだけでなく、なぜ続けやすいのかを訴求しペルソナの不安を解消する

今回の例においては、ペルソナは以下のような悩みを抱えています。

  • 子どもが英会話教室を続けられるのだろうか
  • 英語を好きになってくれるのだろうか
  • どの英会話教室が子どもにいいのだろう

これらの悩みを解決するために、ペルソナはさらなる情報収集を実施するでしょう。

ペルソナとの重要な接点は、オフィシャルサイトや広告の遷移先LP(ランディングページ)です。

ここでペルソナの悩みを解決できるように、自社サービスだからこそ実現できるメリットやベネフィットを検討する。

例えば、写真や動画を用いて楽しそうな様子を伝えるなどの施策が考えられます。そのほかにも、FAQやチャットボットなども検討段階に有効な施策です。

4-4.購入段階

購入段階まで進んだペルソナが気になることは、価格や無料トライアルの有無などです。

価格やロケーションページなどで、無料トライアルや特別オファーなどを用意し、顧客の背中を一押ししましょう。

これで下記のようなカスタマージャーニーマップが完成しました。

購買プロセス 認知段階 検討段階 購入段階
顧客の感情
  • 子どもに英語を学ばせたい
  • 楽しく英語を学んでほしい
  • 子どもは英会話教室を続けられるのだろうか
  • 英語を好きになってくれるのだろうか
  • どの英会話教室が子どもに適しているのだろう
  • 料金は?
  • 自宅近くにあるの?
  • スケジュールは?
行動 子ども向け英会話教室についてリサーチ さらなる情報収集 Webサイトの料金ページや店舗一覧ページなどを確認する
タッチポイント
  • Google検索
  • リスティング広告
  • Facebook広告
  • 英会話教室のオフィシャルサイト
  • LP(ランディングページ)
  • 料金一覧ページ
  • 店舗一覧ページ
自社の施策
  • ブログ記事の制作
  • リスティング/SNS広告の運用
  • 感情に寄り添い自社サービスを選ぶべき理由を伝える
  • 楽しさだけでなく、なぜ続けやすいのかを訴求しペルソナの不安を解消する
  • 無料トライアル
  • 特別オファー

ご覧の通り、ExcelやGoogleスプレッドシートを使えば、簡単にカスタマージャーニーマップを作成できます。

5.カスタマージャーニーマップ作成に便利なツール

ExcelやGoogleスプレッドシートでカスタマージャーニーマップは作成できますが、デザインにもこだわりたいという方もいるはずです。

そこでここからは、カスタマージャーニーマップ作成の便利ツールをご紹介します。

5-1.Figma

出典:Figma

Figmaはコラボレーションツールです。直観的な操作で、図表やブレインストーミング、UI/UXデザインなどを制作できます。

また、Figmaはコミュニティが盛んであり、コミュニティには多くのテンプレートが共有されているのです。

出典:Figma

カスタマージャーニーマップテンプレートを活用すれば、必要項目を埋めるだけで、分かりやすいカスタマージャーニーマップが作成できます。

日本語版は下記よりコピーできますので参考にしてみてください。

参考:カスタマージャーニーマップ|Figma Community

5-2.Canva

出典:Canva

Canvaは無料で使えるデザイン作成ツールです。Canvaもまた、カスタマージャーニーマップのテンプレートを用意しており、必要項目を埋めるだけで魅力的なカスタマージャーニーマップを作成できます。

ペルソナとカスタマージャーニーマップがセットになっているテンプレートが多いのも特徴。

5-3.HubSpot

出典:HubSpot

HubSpotのペルソナジェネレーターを使えば、必要情報を入力するだけで、カスタマージャーニーマップに欠かせないペルソナを作成できます。

英語版ツールですが、無料で分かりやすいペルソナを作成できるため、積極的に活用しましょう。

作成したペルソナは、Eメールアドレスや電話番号、企業情報などを入力することでダウンロードできます。

6.カスタマージャーニーマップ作成時の注意点


カスタマージャーニーマップ作成時には、下記の点に注意してください。

  • ユーザーインタビューを実施する
  • 他部門の協力を得る
  • ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成する
  • 定期的にアップデートする

以下では、それぞれの注意点について解説します。

6-1.ユーザーインタビューを実施する

カスタマージャーニーマップは、実在する顧客をモデルにしたペルソナの購買プロセスを可視化したものであるため、行動や感情も顧客の経験をベースにしなければいけません。

ユーザーインタビューやアンケート調査などを実施し、カスタマージャーニーにおける顧客の行動や感情などを確認しましょう。

また、購買に至らなかった顧客や途中解約した顧客の声にも耳を傾けることで、自社の弱みや改善点の把握にもつながります。

6-2.他部門の協力を得る

顧客にインタビューやアンケート調査などを実施するのは、顧客理解に大いに役立ちますが、必ずしも有意義な発見につながるとは限りません。

実際に、顧客の多くは自身のペインポイントや購入動機などを理解していないのです。

そこで役立つのが、営業やカスタマーサポート、カスタマーサクセスなどの顧客と直接コミュニケーションをとる部門へのインタビュー。

顧客解像度が高いメンバーに協力してもらうことで、顧客自身さえ気づいていない課題やニーズなどを発見できるでしょう。

6-3.ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップはペルソナごとに作成しましょう。

例えば20代から40代向けの化粧水を販売していたとしても、20代は将来の肌予防のために、40代は現在の肌改善のためにというように、課題や購買動機は異なります。

年齢や性別、職業、収入、価値観などで顧客行動は変わるため、必要に応じて複数のペルソナとカスタマージャーニーマップを作成する。

6-4.定期的にアップデートする

製品の改善や市場の変化、トレンドなどにより顧客行動は変化するため、定期的にカスタマージャーニーマップは見直し、必要に応じて改善をしましょう。

WebサイトやLPの変更、フォーム項目の追加など小さな変化も、顧客行動に影響を与える点には注意が必要です。

7.まとめ

カスタマージャーニーマップでタッチポイントや顧客行動・感情などを可視化すれば、各フレーズにおける顧客体験を理解し、ビジネスの成長につながる施策展開が可能となります。

カスタマージャーニーマップの作成で重要なポイントは、実在する顧客の声やデータを参考にすることです。実在しない顧客のカスタマージャーニーマップを作成しても、有益な発見にはつながりません。

Excelやスプレッドシート、無料ツールなどを活用することで、まずはカスタマージャーニーマップの大枠を素早く作成し、徐々にブラッシュアップをしましょう。

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本記事の著者

アドフレックス編集部

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