うまい棒・ガリガリ君の事例に学ぶ、値上げ時代にこそ広告が生きる理由
在宅をメインとするフリーライターという職業柄か、筆者の一日は長かったり短かったりします。
個人的には「集中力が切れたらその日は終わり」で、労働時間としては短くても頭が限界まで絞られています。
物事を考え続けたために神経が立ち、寝つきが悪いという日も多々あります。
そんな筆者の日常の中で、夜、布団の中でスマホのパズルゲームをするのが大切な息抜きの時間になっています。
しかしそのスマホゲームの世界にも「値上げ」が発生し、筆者は今の時代の厳しさを再認識しました。
一方で、広告の可能性を感じたのも事実です。
値上げ時代の広告はどうあれば良いのか、考えてみましょう。
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目次
「ゲーム内課金」システムと筆者の葛藤
筆者が夜、寝る前の息抜きにしているパズルゲームは、よくあるシンプルなものです。
3つのピースを組み合わせて消していき、4つ以上のピースが特定の並びになればミサイルや爆弾などが合成され、より広い範囲にあるターゲットを消すことができるというものです。
ただ、この手のゲームに多いのは「基本無料だが、ゲーム内課金がある」ということです。別に課金せずに遊ぶことも可能ですが、課金すれば便利なアイテムやゲーム内でのコインが貰えるというシステムです。
ただ、課金しなくても、広告を視聴することで同じアイテムが手に入る場合もあります。
ゲームへの課金沼にはハマりたくない・・・
と常日頃考えている筆者ですが、やはり広告が冗長に感じてしまい「月いくらまでなら」と上限を決めて、ついに課金するようになってしまいました。
しかし、先日のことです。
筆者が月に1回購入しているいつものアイテムパッケージが、100円値上がりしていたのです。現在、多くの身近なものが値上がりしていますが、ここにまで値上げの波が来たのか、と驚いたものです。
海外のゲームなので、値上げの理由は日本とは事情が違うのでしょうが、しかしこれを機に明らかに筆者の行動は変わりました。
「課金せず、なるべく広告視聴で済ませよう」
結果、広告の視聴時間が増えました。
そして、ここは個人差があることでしょうが、それまでよりもきちんと見るようになっていました。
それも、どうせ見るなら、と案外丁寧に見ているのです。広告出稿側にとっては、思わぬ出来事かもしれません。
また、これは値上げとは異なりますが、レジ袋が有料になってから、ある書店では「広告」としてビニール袋を無料でくれたことがあります。
実際、中には紙の広告があらかじめ入っており、これは袋ではなく広告を配っているのだ、というスタンスです。環境問題対策という本筋を考えれば首をかしげる方もいらっしゃるでしょうが、それはそれで新しい手法です。
これらはいずれも、大きく変化する環境のなかで、新しい手段を取る企業が出てきたことを肌で感じた出来事でした。
4人に1人が「ステルス値上げは不誠実」
ところで、ここ数年、特に食料品の値上げが続いています。燃料、原材料の上昇に耐えきれず、まず数年以上前から始まったのが、価格を据え置いて内容量を減らす「ステルス値上げ」です。
メーカーとしてはそこが妥協点、あるいは良かれと思ってこの手法を選んでいると考えられますが、実は消費者の意識は異なるところにあります。
消費者庁がステルス値上げについて意識調査を実施したところ、以下のような結果が得られているのです(図1)。
24.2%、つまり約4人に1人は「実質値上げ(ステルス値上げ)は不誠実だと感じる」と回答しています。
また、日常的に買っている商品について、「ステルス値上げが原因で買う商品を変えた(または買うのをやめた)ことがある」とする人も24.8%にのぼっています。
値上げ時代の広告
よって、値上げが避けられない現在の情勢では、周知には気を遣う必要が出てきています。特に上記にあるように、「不誠実」という印象を避けなければならないのです。
こうした中で、注目された値上げ広告がいくつかあります。
スナック菓子「うまい棒」を販売する「やおきん」が、2022年4月出荷分からの「うまい棒」を値上げした際、公式Twitterなどでこのような広告を配信しています(図2)。
また、やおきんは値上げ広告をシリーズ化し、この月に4回にわたって新聞に広告を掲載しています。
このようなパターンの広告もありました(図3)。
消費者に近い「厳しい意見」も包み隠すことなく伝えているのが特徴です。
また、かつて「ガリガリ君」が値上げされた際の広告が印象に残っているという方もいらっしゃることでしょう(図4)。
社長以下、社員が直接挨拶に出たこの写真は記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
こちらも2日間にわたるシリーズ形式での広告展開でした。
「うまい棒」「ガリガリ君」の値上げについては、この広告展開により、消費者からはむしろ「応援したい」というメッセージがネット上には溢れるようになりました。
値上げから逃げることなく、時間をかけて説明することに徹しているのです。
ユニクロも「誠実さ」を前面に出して値上げ
そして、ユニクロも2022年に値上げを実施した企業のひとつです。
この際、ユニクロは値上げについてのWebページを作成しています(図5)。
なお、このWebページには、FAQも掲載されています。一方的な通知で終わらせているわけではないのが特徴です。
「広告の存在意義」を改めて考える
上記の事例に共通しているのは、これらの広告が「顧客とのコミュニケーションの場」という本来の役割に立ち返っているということです。
食料品や日用品などの値上げについては、全体的な傾向として多くの人が把握はしています。
しかし所得の上がらない日本市場では「無い袖は振れない」という感覚のほうが強く出る消費者が多いという事実があります。
また、販売する側やある程度地政学、経済などに関する知識がある人であれば「どうしようもないことだ」と考えますが、すべての消費者がそうであるとは限りません。
「原材料の高騰」と一言で済ませることは簡単です。
しかし、ここまでに紹介してきた丁寧な広告の事例に照らせば、一言で済ませてしまうのは乱暴なものに映りかねません。
また、上記の事例は企業としての考え方を明確に示しているのも特徴です。
原材料の急騰に円安が追い打ちをかける、という異常事態に直面したとき、企業のパーパスを明確に持ち、消費者に示すことができるかどうかは非常に重要です。
やおきんであれば、
「未来の子どもたちにも、これからも駄菓子のおいしさと楽しさを届けていくために、ちゃんと利益を出す」
というパーパスを。
ユニクロであれば
「『安かろう、悪かろう』では、ユニクロの服ではありません」
というスタンスでありメッセージです。
「値上げされる側の気持ち」を汲んだ消費者との丁寧なコミュニケーションは、この時代にこそ必須であり、むしろ企業が理念を伝える場所にすらできる、と言えるでしょう。
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