

SNS広告は少額から始められ、費用対効果も高いため、新たに運用を検討している方も多いのではないでしょうか。
これまでWebを主体としたマーケティング戦略が基本でしたが、近年ではSNSの利用者増加や影響力の拡大に伴い、広告の配信先として優先度が高くなっています。
しかし、すでに多くの企業がSNS広告運用に参入しているため、市場の競争は激化しています。今後は、SNS広告の配信効果を高めるための新たな一手が必要になるでしょう。
本記事では、SNS広告運用の基本や、配信効果を高めるポイントなどについて詳しく解説します。SNS広告への新規参入を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
1.SNS広告運用の重要性


SNSのユーザー数は年間約10万人規模で増加しており、2022年末までに日本人口の約81%に達すると予想されています。生活の一部となっているSNSの広告運用が重要視されるのは、必然と言えるかもしれません。
消費行動へのつながりやすさも、SNS広告が重視される大きな要因です。
商品やサービスの購入の際にSNSを参考にしている割合は、10~30代で50%を超えています。そのため、ターゲットが若年層であるほど、SNS広告運用の重要性は高まると考えていいでしょう。
商品やサービスの購入する際にSNSを参考にしている人の割合 | |
10代 | 71.9% |
20代 | 61.9% |
30代 | 52.6% |
40代 | 43.3% |
50代 | 36.1% |
出典:ゼネラルリサーチ
2.SNS広告運用のメリット


SNS広告を運用する最大のメリットは、詳細なターゲティングによる費用対効果の高さです。
年代や性別といった基本属性だけではなく、趣味・嗜好別のターゲティングもできる。 →費用を抑えながら最大限の配信効果を狙える。 |
また、拡散性の高いSNS広告は、顕在顧客の獲得をメインとしながら、潜在顧客に対するアプローチも強化できます。
3.SNS広告を運用できるメディア
SNSによって利用者層やユーザーの目的は異なってきます。広告の配信先として最適な媒体を選択するためにも、それぞれの特徴をしっかりチェックしておきましょう。
3-1.YouTube
YouTubeとは: 動画配信が主体のユーザー投稿型プラットフォーム。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
10〜40代までのYouTube利用率は90%を超えています。利用率が比較的低い50代でも81.2%という高い数値になっているため、幅広い年代層への広告配信が可能です。
動画の前後・再生中に配信されるインストリーム広告や、スキップができないバンパー広告など、多彩な広告フォーマットが用意されているのもYouTubeの特徴と言えます。
ただし、身近な娯楽として「ながら見」をしているユーザーが多く、広告のスキップも常習化しているため、ユーザーの目を引く動画広告を制作できるかどうかが成果を大きく左右します。
3-2.LINE
LINEとは: 国内の月間アクティブユーザーが8,400万人(2020年3月時点)の大規模SNS。広告を完全非表示にする方法がないため、広告がユーザーの元に届きやすいという特徴がある。全世代におけるSNSの利用率は LINEがトップ。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
利用率は10〜40代で95%を超え、50代でも85%以上となっています。男女比で見ると、女性の方が利用率は高いです。
LINEは日常的な連絡手段が主目的ですが、ニュースやマンガなど総合的なサービスを提供しており、広告の配信面は多岐にわたります。
3-3.Twitter
Twitterとは: 140字のテキスト投稿をメインとしたSNS。国内の月間アクティブユーザーは4,500万人(2017年10月時点)となっている。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
Twitterは即時性が高いため、コアユーザーはトレンドに敏感な10〜20代になります。30代以降は利用率が急激に低下し、50代の利用率は30%を下回っています。男女別の利用率はほぼ同数です。
Twitterの大きな特徴は拡散性の高さでしょう。配信した広告がユーザーに拡散されれば、広告費をかけずに二次的な効果を期待できます。
3-4.Facebook
Facebookとは: 実名登録を原則としているSNS。国内の月間アクティユーザー数は2,600万人(2019年4月時点)となっている。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
Facebookの利用率が高いのは30〜40代で、10代と50代の利用率は低めです。男女別に見た利用率は、ほぼ同率となっています。
Facebookは実名登録制であるため、ターゲティングの精度が高めです。ビジネスシーンで活用するユーザーが多く、BtoBのプロモーションや人材採用目的での広告運用に役立てられるという特徴もあります。
3-5.Instagram
Instagramとは: 写真の投稿を主体としたSNS。画像や動画でイメージを伝えやすいアパレルやコスメ関連商品の広告運用に向いている。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
利用率が高いのは10〜30代で、ユーザーの半数近くが女性です。若年層の女性ユーザーにビジュアル面を強調した広告を配信するなら、Instagram以外の選択肢はないでしょう。
拡散性は高くありませんが、ハッシュタグを利用してピンポイントに情報を届けられるというメリットがあります。用意されている広告フォーマットの種類も多彩です。
なお、InstagramはFacebookの傘下にあるため、広告の運用はFacebook広告の管理画面から行う。 |
3-6.TikTok
TikTokとは: 15~60秒のショートムービーを投稿できるプラットフォーム。投稿できるのは短尺動画に限られますが、アプリ上で撮影から編集まで行えるという特徴がある。 |


データ引用元:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
TikTokの利用率は全体的に低めですが、10代の利用率が50%を超えているのは注目すべきポイントでしょう。男女別では、女性の方が利用率は高くなっています。
バズれば他のSNSに拡散される傾向があるため、二次的な宣伝効果も期待できます。ただし、ターゲットはかなり限定されると思った方がいいでしょう。
4.近年注目のSNS広告


主要SNSだけではなく、近年注目を集めているSNSの特徴と広告もチェックしておきましょう。
4-1.Snapchat
Snapchat(スナップチャット)とは: 画像や動画を投稿して共有できるSNS。主な利用者層は10〜 20代で、「スナチャ」と略して呼ばれている。 |
基本的にはInstagramのストーリーズと変わりませんが、Snapchatには以下のような特徴があります。
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Snapchat では、10秒以内に消える特徴を活かして他SNSへの拡散を促したり、限定感の高い広告を配信したりするなどの運用方法が考えられます。
広告フォーマットには、フルスクリーンで表示される「スナップ広告」や、ブランド名入りのスナップを拡散してもらう「スポンサードジオフィルター」などがあります。
全年代層における利用率は1.5%と低調ですが、10〜20代ではそれぞれ5%前後の利用率となっているため、今後の利用率拡大に注目したいところです。
4-2.Pinterest
Pinterest(ピンタレスト)とは: ネット上の写真や画像を「ボード」に貼り付けて収集し、シェアできるサービス。近年では、商品の認知拡大やブランディングにも活用されている。 |
Instagramと似ていますが、自分で撮影した写真ではなく、ネット上の画像投稿がメインになるのがPinterestの特徴です。なお、Pinterestには「リピン」と呼ばれる拡散機能もあります。
2022年6月1日から、日本国内でも運用型広告の配信が可能になりました。


ユーザーが少ないため配信できる母数は限られますが、自社の商材にマッチするのであれば、新たな出稿媒体として選択肢に入れる価値は十分にあります。
4-3.Linkedin
LinkedIn(リンクトイン)とは: ビジネスパーソンに特化したSNS。原則として実名・顔出しでの登録となっており、就職や転職活動の場としても活用されている。 |
日本国内での利用者数は250万人(2020年1月時点)で、ユーザーは企業名や業務経験をオープンにして交流をしています。
LinkedIn広告は「職歴レベル」や「社会人経験年数」などでもターゲティングできるため、BtoBに特化した広告運用にも適しているでしょう。
5.SNS広告運用のポイント


SNS広告の運用効率を高めるには、以下のポイントを意識することが大切です。
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5-1.目的に合わせて媒体を選択する
SNSは媒体ごとにユーザー層や利用目的が異なるため、各媒体の特徴を把握したうえで、最適な配信先を選択しなければいけません。
場合によっては、複数の媒体を使い分けて効率的な配信を目指す必要もあります。
5-2.ターゲットを絞り込みすぎないようにする
ターゲティング精度の高さがSNS広告の特徴ですが、ターゲットを絞り込みすぎると配信先が少なくなり、運用効果が期待できなくなります。
広告の対象とは異なるユーザーを除外するよりも、配信数を確保したうえで結果を分析しながらターゲットを絞っていく方が効果的。 |
なお、近年のSNS広告は基本的に自動ターゲティングがもっとも効率よく、設定の手間もかかりません。初めてSNS広告を運用するのであれば自動設定でも全く問題ないでしょう。広告の運用に慣れてきたら、手動での設定に取り組んでみてください。
5-3.クリエイティブの更新を繰り返す
SNSのユーザーは、タイムライン上の膨大な投稿を流し見しています。そのため、魅力的なクリエイティブを制作しなければ、画面をスクロールする手を止めてはもらえません。
完成度の高いクリエイティブを制作しても、新しいものを探しているSNSユーザーには飽きられるも早いです。
成果を出すには、定期的にクリエイティブの更新と改善を繰り返して、ユーザーの目を引き続ける必要がある。 |
5-4.運用当初は予算を高めに設定する
SNS広告運用の初期段階は予算を抑えたくなりますが、入札単価を下げるのは得策とは言えません。
近年のSNS広告は、選択したセグメント内で広告配信の最適化が自動的に行われるので、手動での単価調整は最低限にした方がいいでしょう。
とくに、配信直後の数週間は機械学習の期間となるため、入札単価の上限を低くしている場合は広告が配信されない恐れがあります。
機械学習の精度を高めるためにも、広告の運用当初は入札単価を高めに設定して配信数を優先させましょう。 |
5-5.各媒体の規約を厳守する
各SNSでは、広告配信に関する細かい規約を定めています。
通常の感覚では問題がないように思えても、各媒体の規約に違反するといったケースは多いため、運用前に必ず規約を確認しておきましょう。
とくに、美容や金融関連の広告には厳しい制限が設けられているので注意が必要。 |
5-6.不適切な広告を配信しない
規約に抵触していなくても、不適切な表現でユーザーに反感を持たれれば、ブランドイメージが悪化して回復に数年かかることもあります。
出稿前には、複数人の目で不適切な表現がないかどうかをチェックしましょう。 |
5-7.リマーケティングを活用する
リマーケティングとは: 広告にアクションを起こしたユーザーや、自社アカウントを訪れたユーザーに限定して広告を配信する手法。 |
リマーケティングの対象となるユーザーは、新規ユーザーに比べて商品に対する関心や購買確度が高いという特徴があります。
運用効率を高めるために、新規ユーザーとリマーケティングユーザーに分けて広告を配信してもいいでしょう。 |
6.SNS広告運用代行サービスの費用はどのくらい?


SNS広告運用代行サービスの利用費用は「月額50万円~」が相場です。費用には詳細なレポーティングや分析、クリエイティブ改善のサポートなども含まれます。
基本的には、広告運用を含めたSNSマーケティング全般を任せる形になります。運用代行会社によっては、毎月の費用とは別に初期費用がかかるので、事前にチェックしておきたいところです。
初めてSNS広告を運用する場合や、運用の成果が得られないときには、プロに委任するのも方法のひとつ。 |


7.まとめ
今回の内容をまとめると、以下になります。
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SNSによってユーザーの年代や利用目的は異なるので、自社の広告運用戦略に適した媒体を選択して、効率的な広告の配信を実現させましょう。SNS広告の運用に慣れない間は、代行会社に委任するのも方法のひとつです。