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ウェブ広告は目立たないほうがいい理由

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どうせ同じカネをかけてプロモーションするなら、たくさんの人に届いたほうがお得だ。

だから広告マンは、とにかく広告を目立たせよう、多くの人に見てもらおう、と考える。

でもそもそもの話、広告は本当に、目立ったほうがいいのだろうか?

広告が目立てば目立つほど、消費者はうんざりしちゃうんじゃ……?

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広告は目立ったほうがいいという「定説」

ひとくちに広告といっても、いろんな種類がある。

たとえば、電車のつり革広告や街中の看板。風景の一部として存在している広告は、目立ってナンボだ。

つり革広告が目に入ってイライラするとか、立て看板が通行の邪魔で許せない!なんてこと、まぁそんなに起こらない(広告の内容が個人的に嫌い、ということはありえるけど)。

電車のドアに英会話教室の案内があっても、渋谷駅のハチ公ボードでアイドルがウィンクしていても、興味がなければ「ふーん」で終わり。

いくら派手な広告であっても、基本的にはわたしたちにとって損や迷惑ではないから、目立てば目立つほどいい。そのほうが、広告で「だれかが釣れる」可能性が高まるから。

広告は宣伝の手段。宣伝は多くの人に知ってもらうためにするもの。

だから、目立ったほうがいい。

これは当然の考えだし、まちがってはいないと思う。

でもウェブ広告となると、話は別だ。

有料会員になると広告が消えるのは、広告が邪魔だから

最近ネットには無料で利用できるサービスが多くあるが、だいたいどこも有料オプションをもうけている。

さてさて、無料のサービスにカネを払うとなにが変わるのか?

そう、広告の有無である。

スマホゲーでもお料理アプリでも動画配信サイトでも、有料にすると、+αの機能が使えるうえで広告がなくなることがほとんど。

つまり大前提として、

「広告を表示しない=有料でもいい」
「広告はできるだけ見たくない邪魔なものである」

という共通認識があるのだ。だからこそ、有料オプションとして「広告非表示」が成立する。

なぜそんな厄介者扱いされるかというと、ウェブ広告は、本来はほかに見たいものがあるのに強制的に見せられる仕組みだからだ。

動画再生前に必ず広告が表示されたり、無料アプリの下部に広告が表示されたり、トップページの記事のなかにPR記事が混ざっていたり。

無料サービスだからしょうがない、と許容はするけど、本来ユーザーは、そんなもの見たくはない。広告を見るためにアクセスしたわけじゃないからね。

いや本当、気になる記事を見つけてクリックしたら、画面全体にバーンと全面広告が出るとか、スマホでスクロールしようとしたら右下に追尾広告がずっと出て誤クリック誘発させるとか、「嫌がらせかな?」って広告が多すぎてさ……。

だから「邪魔」だし、「有料でもいいから広告を消してくれ」と思う。

……ってな状況で、目立つ広告を打ったらどうなるか?

そう、もっと邪魔なんだよ! 

一生懸命広告作った人には申し訳ないけどさ!もともと見たくないものを見せられてるのに、そのうえで存在を主張されるとなおさら邪魔なんだよね!

だからわたしは、ウェブ広告はナチュラルで目立たず、ユーザーが「プロモーションされた」と思わないくらい地味〜なほうがいいんじゃないか?と思うのだ。

広告だと気づかないくらいナチュラルなウェブ広告例

というわけで、 最近目にした「ナチュラルでうまい」ネット広告を2つご紹介しよう。

まずは、このツイッター広告。

出所:フェリシモ 公式ツイッター

見てください、このナチュラルさ!

タイムラインを眺めていたらこのツイートが流れてきて、「うーわ、また広告だ」と思う人って、どのくらいいるんだろう。

わたしはフォロワーのだれかがネイルアップしたのかな?と思ったよ。

でもこれはれっきとしたプロモーションツイートで、しかも1.9万いいねも獲得している。

これがもし、こんなツイートだったらどうだろう(わたしが10秒で考えたザ・広告っぽいツイート)。

このツイートで、1.9万いいねを獲得できていただろうか。

少なくともわたしは、前者のツイートのほうがよっぽど「いい広告」だと思う。タイムラインに馴染んでいて、邪魔してこないから。

さてもうひとつ、今度はYouTube広告を紹介したい。

M-1グランプリ当日、公式サイトでオズワルドのネタを見ようとクリックしたときのこと。なぜか、かまいたちのコントが始まったではないか!

あれ?わたしかまいたちの動画再生したっけ?と首を傾げたが、これは「コント風の広告」。

普段広告なんて一切見ずに速攻スキップ勢のわたしだが、かまいたちが好きというのもあって、これは「うまいな」と思いながらひととおり見た。

M-1当日にオズワルドのネタを見にくるような人であれば、ほぼ確実にかまいたちのことを知っているだろう。その人たちからすれば、かまいたちの漫才は馴染みのあるものだ。

だから、オズワルドではなくかまいたちが漫才をはじめても、あまり違和感なく受け入れられる。

M-1だからこそできる芸当ではあるが、ウェブ広告なんて、これくらい「ナチュラル」なほうがいいのだ。

広告=目立てばいいという思い込み

多くの人はウェブ広告を見慣れているので、広告だとわかると、ほとんど無意識にスルーする。

少なくともわたしは、広告なんてまともに見ずに✕ボタンで閉じられるものはすぐに閉じるし、動画でも「スキップする」が可能になるまで別のサイトを見ることが多い。

だって、それを見るためにアクセスしたわけじゃないし、見なくて済むならそっちのほうがいいし。

だから、「はーい広告です! 目立つでしょ! みんな見てみて!」というあからさまな広告は、「はーい広告です、無視してくださいねー!」とアピールしているのと同じなのだ。

とはいえもちろん、冒頭で書いたように、広告にもいろんな種類がある。

「リツイートしてくれた人100名にプレゼント!」といったキャンペーン系であれば、「キャンペーンです」感があったほうがいい。期間限定〇〇といった宣伝なんかも、できるだけ目立ったほうがいいだろう。

わたしはなにも、「広告は邪魔だから大人しくしとけ!」と言いたいのではないのだ。

ただ、「広告だからって目立てばいいってわけじゃないよね」というだけの話である。

ナチュラルな広告のほうがいいが、紛らわしいのはアウト

また、「ウェブ広告はナチュラルなほうがいい」とはいえ、注意しなければいけないのは、「広告であることを隠してクリックを誘導してはいけない」「ステマと受け取られてはいけない」ということだ。

たとえばGoogle AdSenseは、誤クリックの誘導や誤解を招く見出し下での広告配置、広告フォーマットに似せたコンテンツなどを禁止している。*1

*1
出所:Google AdSence ヘルプ|Google

つまり、再生ボタンのとなりに広告を配置したり、関連リンクとして広告を表示したり、画像と広告を並列配置したりは、すべて禁止。

一般的に、「広告とコンテンツの区別がつかない状態」はダメだとされる。

これが問題になったのがステマ(ステルスマーケティング)で、宣伝であることを隠して宣伝するのは、いまや完全にアウトだ。

つまりウェブ広告は、「広告だとわかる状態」と「忌避されないナチュラルさ」の塩梅が大事なのだ。

目立てばいいというわけでもないし、紛らわしくてもいけないというのは、なかなかむずかしい。

でもそこがきっと、ウェブ広告の差がつくところなのだと思う。

強制的に見せるウェブ広告のポイントは「浮かない」こと。

もしあなたが醤油を売るためのツイッター広告を出すとして、どんなものを考えるだろうか。

ドーンと醤油の画像をもってきて、いかにこだわっているかを書いたテキストを並べる?

それとも生産者の顔が見えるようなデザインで素朴な雰囲気をアピールする?

いや、ツイッターに載せるなら、

「白米1合必須!?コクのある××醤油を使った極・醤油唐揚げ丼 秘伝レシピ」

なんて書いて、レシピ画像で広告を出したほうが効果的なんじゃないだろうか。

「こだわりぬいた醤油」アピールしても、見ている側は醤油の味なんてわからない。醤油の画像だけがタイムラインに流れても、どうせ広告だと流しみるだけ。

でももしそれが、レシピの紹介だったら?

「この醤油の特徴は〜〜だから、味の濃い唐揚げにぴったり!ご飯によく合うよ!」

なんてニュアンスなら、受け入れやすいんじゃないだろうか。

醤油をバーン!と全面に出すよりは目立たないかもしれないが、タイムラインで広告が目立つのは、つまり「浮いている」ということ。それはプラス要素ではない。

だから、タイムラインに流れていてもおかしくないようなレシピツイートで、かつちゃんと広告だとわかるようにプロモーション設定をして流す。

個人的には、そっちのほうがいいと思う。

ウェブ広告は、つり革広告や駅のディスプレイ広告とはちがう。

見たくない人たちに強制的に見せるもの。

だからこそ、できるだけストレスがかからないよう、地味で目立たないくらいがちょうどいいのだ。

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本記事の著者

アドフレックス編集部

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