Web広告の自動入札とは?メリット・デメリット、活用法まで徹底解説
Web広告の入札単価を自動で設定してくれる「自動入札」。手動設定と比較し、入札価格などの調整に手間がかからず、Web広告運用における工数削減にもつながります。
しかし、「本当に期待する広告効果が現れるのか」、躊躇されているWeb広告担当者も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、改めて自動入札の概要とメリット・デメリット、活用法を詳しくご紹介します。自動入札の仕組みを理解することで、広告運用の効率化にも役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
1.自動入札とは
自動入札とは:
Web広告を出稿する際の入札単価を自動で設定してくれる機能。
基本的にWeb広告は、出稿するキーワードの入札単価が高ければ高いほど、広告が上位に表示される仕組みです。広告が上位に表示されることで、見込み顧客との接点が増え、集客につながるわけですが、最適な入札単価は競合他社の順位によっても変動します。
このようにWeb広告は、競合他社の入札単価に応じて、日々、出稿額を調整しなければならず、一定の工数がかかります。Web広告の自動入札を活用すれば、こうした調整の手間が減り、効率の良い広告運用が可能です。
参考記事
2.自動入札と手動入札の違い
自動入札と手動入札には、その特性から「工数」と「設定の自由度」に違いがあります。自動入札の場合、入札単価の調整をすべて媒体に任せるため、広告順位が変動しても特別調整をする必要はありません。最初のみ設定をするだけで、その後の調整に手間がかからず、運用工数が削減できます。その反面、どのように入札単価を調整しているのかを把握することはできず、設定の自由度はありません。
一方、手動入札の場合ですが、広告順位に応じて都度入札単価を調整しなければならず、一定の工数がかかります。その分、自動入札よりも自由度の高い調整が可能となります。
自動入札と手動入札の違いをまとめると、以下の通りです。
工数 | 入札単価の調整 | 難易度 | |
---|---|---|---|
自動入札 | 少ない | 自由度は高くない | 初心者向け |
手動入札 | 工数がかかる | 細かく反映可能 | Web広告経験者向け |
自動入札は、Web広告の出稿経験が浅い担当者でも扱いやすいですが、手動入札の場合は、細かい設定が可能な分、経験者向けと言えます。特定のキーワードで「なんとしても上位表示を獲得したい」という状況では、手動入札も併用することで、より効果的な運用ができます。
どちらの入札方法にも、メリット・デメリットがありますので、違いを理解して使い分けたいところです。
3.自動入札のメリット
自動入札のメリットは、大きく分けて以下の3つです。
- 入札単価の調整工数を削減できる
- 効率良く広告効果が向上する
- コア業務へ集中できる
1つずつ見ていきましょう。
3-1.入札単価の調整工数を削減できる
自動入札を活用することで、キーワードごとに出稿する入札単価の調整工数を削減できます。手動入札のように広告順位の変動を見ながら、入札調整をする必要がないため、Web広告担当者の手間を減らせます。また、自動調整機能によって、広告費の無駄を省くことも可能です。
なお、自動入札は機械学習を導入しているため、設定を頻繁に変更してはいけません。設定変更後も機械学習の進捗に応じて、2〜4週間は経過を観察する必要があります。入札単価の調整に多くの工数を費やしている場合には、自動入札がおすすめです。
3-2.効率良く広告効果が向上する
自動入札は、媒体の機械学習によって、入札単価を微調整します。そのため、通常2〜4週間の学習期間が必要ですが、分析を終えると、配信精度も向上します。つまり、運用を継続するだけで広告効果も向上する可能性が高いです。特にGoogleやFacebookをはじめとした媒体によっては、自動入札の機能がアップデートされており、広告配信の精度も期待できます。従来の自動入札機能の精度に満足できなかった担当者も多いと思いますが、現在は手動入札と同等の水準に到達しました。
3-3.コア業務へ集中できる
Web広告担当者は、広告出稿における入札単価の調整以外にも、クライアントとのやりとりやその他のマーケティングなど多くの業務を担当します。特に最近では、インハウス運用でWebマーケティングを導入する企業も多く、担当者への業務負担が懸念されています。自動入札を導入すれば、入札単価の調整工数が削減されるため、コア業務に集中でき業務負担も軽減可能です。その結果、Web広告担当者は効果検証や改善など、PDCAサイクルを回すためのあらゆる施策の精度を向上できます。
4.自動入札のデメリット
次に、自動入札のデメリットを解説します。自動入札ならではの特徴も踏まえて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
4-1.配信精度が向上するまで時間がかかる
自動入札は媒体の機械学習によって、入札単価が調整・最適化されます。機械学習とは、媒体が持つ検索クエリやユーザー属性、時間帯、地域、広告主が持つドメインなどを活用して、施策の自動化を進める仕組みです。当然、これらの情報を最適化するためには、一定時間の学習が必要とされ、通常2〜4週間はかかると言われています。そのため、この学習期間においては、CPC(クリック単価)が高騰する可能性もあり、配信精度は不安定です。
配信精度向上には、一定の期間がかかると理解し、CPCが高騰したからといって、すぐに手動入札に切り替えることがないよう注意してください。特に自動入札導入直後については、各数値が不安定になりやすい時期です。クライアントへ導入する際は、自動入札に関する知識を共有し、適切に運用できる体制を整えましょう。
4-2.データが不足していると機能しない
自動入札は蓄積するデータが多いほど、機械学習によって分析が最適化され、入札単価の調整が効率良く進みます。しかし、そもそも蓄積するデータが不足していると、ユーザーの趣向を判断できる材料が少ないため、入札単価の調整が機能しません。コンバージョン数が少ない場合には、入札戦略をクリック率の最大化へ変更するなど、柔軟な対応が必要です。
5.【媒体別】自動入札機能について
続いて「Google 広告」「Yahoo!広告」の媒体別に用意されている自動入札機能について、ご紹介します。媒体によって用意されている機能が異なりますので、比較検討してみてください。
5-1.Google 広告
Google 広告に用意されている自動入札機能は、以下の6種類となります。
名称 | 機能 |
---|---|
クリック数の最大化 | 予算内でクリック数が最大化されるように入札単価を自動調整 |
コンバージョン数の最大化 | 設定した目標コンバージョン単価をもとにコンバージョン数の最大化を図る |
コンバージョン値の最大化 | 指定した予算内でコンバージョン値の最大化を図る |
目標インプレッション シェア | Google 検索結果ページの最上部や上部、任意の場所に広告が表示されるよう、入札単価を自動調整 |
目標広告費用対効果 | 指定した目標広告費用対効果でコンバージョン値を最大化できるよう、入札単価を自動調整 |
目標コンバージョン単価(CPA) | 指定した目標コンバージョン単価で、コンバージョンを最大化できるよう入札単価を自動調整 |
補足:表のうち、以下についてはそれぞれの値を最大化するよう広告が配信されます。
- クリック数の最大化
- コンバージョン数の最大化
- コンバージョン値の最大化
また、以下については、それぞれ設定した目標値になるように広告が配信されます。
- 目標コンバージョン単価
- 目標広告費用対効果
- 目標インプレッションシェア
5-2.Yahoo!広告
Yahoo!広告における自動入札機能は、以下の6種類となります。
名称 | 機能 |
---|---|
クリック数の最大化 | 予算内でクリック数が最大化されるように入札単価を自動調整 |
コンバージョン数の最大化 | 予算内でコンバージョン数を最大化するよう入札単価を自動調整 |
コンバージョン単価の目標値 | 目標とするコンバージョン単価でコンバージョンを最大化するよう入札単価を自動調整 |
拡張クリック単価 | クリックがコンバージョンにつながる可能性に基づき、手動で設定した入札単価を自動調整 |
ページ最上部掲載 | 目標とする割合で検索結果のページ最上部に広告が表示されるよう、入札単価を自動調整 |
広告費用対効果の目標値 | 目標とする平均広告費用対効果を維持しながら、できるだけ多くのコンバージョン価値を獲得するよう自動調整 |
Yahoo!広告の自動入札機能は、検索広告とディスプレイ広告で使える機能が異なり、検索広告では以下のみに対応しています。
- クリック数の最大化
- コンバージョン数の最大化
- 広告費用対効果の目標値
- ページ最上部掲載
- 拡張型クリック単価
以上が、Yahoo!広告における自動入札機能の特徴となります。
参考:自動入札とは|Yahoo!広告ヘルプ
6.自動入札の設定方法について
Google 広告とYahoo!広告における、自動入札の機能を把握できたところで、実際の設定方法について見てきましょう。なお、Google 広告とYahoo!広告の自動入札は同じ設定方法のため、ここではGoogle 広告の操作画面をもとにご紹介します。
自動入札の設定方法は、以下の2種類です。
- キャンペーンの単価設定
- ポートフォリオ入札戦略
1つずつ見ていきましょう。
6-1.キャンペーンの単価設定
キャンペーンの単価設定とは:
キャンペーンごとに入札できる設定方法のことで、指定したキャンペーンのみ適用される。
キャンペーン設定のタブから、単価設定で設定可能です。
入札戦略を設定するプルダウンから、自動入札の種類を選択してみてください。
次に、選択した自動入札の種類に応じて、目標値を設定します。
6-2.ポートフォリオ入札戦略
キャンペーンが多いアカウントなどで、キャンペーンごとに入札戦略を設定していると、Web広告運用担当者の業務負担が増加します。しかし、ポートフォリオ入札戦略なら、キャンペーン全体で入札を自動調整するため、管理がしやすい特徴があります。
設定方法ですが、Google 広告管理画面右上の「ツールと設定」→「共有ライブラリ」→「入札戦略」で作成可能です。
参考:ポートフォリオ入札戦略を作成する|Google 広告 ヘルプ
7.自動入札の活用ポイント
自動入札は、Web広告運用担当者の手間を減らす便利な入札方法ですが、その恩恵を最大限に活かすためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、自動入札活用のポイントをご紹介します。
7-1.アカウント構成を見直す
自動入札は、媒体の機械学習によって、検索クエリやユーザー属性など、さまざまなデータを分析しています。つまり、データが蓄積しやすいアカウントほど、入札単価が最適化されやすい傾向です。ですので、まずはデータが蓄積しやすいアカウントなのか、キャンペーンや広告グループを見直しましょう。
具体的には、運営する店舗やサービスの都合上、キャンペーンや広告グループを複数設定している場合、リンク先や広告内容が同一であれば、1つにまとめます。キャンペーンや広告グループを1つにまとめることで、広告掲載回数が分散することなく、データも蓄積しやすい傾向です。
7-2.機械学習には最低2〜4週間必要
繰り返しますが、自動入札における媒体ごとの機械学習には、最低でも2〜4週間程度は必要です。そのため、広告の配信期間についても4週間以上で設定をし、できるだけ自動入札が最適化しやすい環境を整えましょう。配信が短期間の場合、自動入札の機械学習が不十分であり、広告効果が期待できない可能性があります。
7-3.自動入札中にはキーワードを大量追加しない
機械学習期間とも関連しますが、自動入札中にキーワードを大量に追加・拡張すると、最適化されていた自動入札が振り出しに戻ってしまいます。機械学習をいち早く最適化するためにも、キーワードを追加する際には、少しずつ追加をしてみてください。
まとめ
本記事では、自動入札の概要とメリット・デメリット、さらには自動入札の設定方法についてご紹介しました。現在の自動入札は、従来と比較しても機械学習の精度が上がり、広告運用担当者の業務負担を軽減する非常に便利な機能です。導入にあたっては、機械学習の期間やアカウント構築なども見直して、ぜひ最適な入札調整を進めてみてください。
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