

ダイナミック広告とは、ユーザーが閲覧した商品から興味や関心を判断して、動的に表示される広告のことです。従来の静的な広告と比べて、ユーザーニーズにマッチした訴求ができるため、クリック率が高くコンバージョンにつながりやすい、という特徴があります。
そこで今回は、ダイナミック広告のメリットや仕組みや広告効果の改善方法などについて、詳しく解説していきます。
1.ダイナミック広告とは
ダイナミック広告とは: ユーザーが閲覧した商品をもとに、最適化された広告が配信される仕組みのこと。 |
閲覧履歴を問わず、すべてのユーザーに同じ広告が表示される従来の配信方法は、スタティック(静的)広告と呼ばれます。
1-1.ダイナミック広告の仕組み
例えば、スニーカー販売サイトを閲覧していたユーザーが、商品を購入せず離脱した場合、このユーザーの行動履歴をサーバーから取得して、別サイトの閲覧時に同じ商品や関連商品の広告を配信します。


履歴を参照するだけではなく、属性が類似する購買確度の高いユーザーに広告を配信することも可能です。
2.ダイナミック広告のメリット
ダイナミック広告の主なメリットは、次の3つです。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.コンバージョンに直結しやすい
ダイナミック広告は、商品閲覧履歴をもとにユーザーに最適な広告を動的に配信するため、従来の広告よりも宣伝効果が高くなります。クリック後は商品の詳細情報ページに遷移して購入するだけなので、ユーザーが離脱するポイントはほとんどありません。
2-2.複数の商品を表示できる
広告上で複数の商品を表示させる「カルーセルフォーマット」を利用できるため、ユーザーが閲覧した商品だけではなく、関連するカテゴリや価格帯、色違いの商品などを同時に訴求できます。表示された商品ごとに遷移先URLを設定できるという特徴もあるため、アパレルECサイトのように商品点数が多い場合は複数の商品を掲載して、各詳細ページへと誘導することも可能です。
2-3.自動的にクリエイティブが生成される
「データフィード」と呼ばれる商品データを準備しておけば、ユーザーに適した広告が自動的に生成されます。通常のディスプレイ広告は、媒体に合わせて画像やテキストを用意しなければいけませんが、ダイナミック広告はデータフィードを全枠で共通活用できるため、クリエイティブ制作の手間が大幅に削減されます。
3.ダイナミック広告の出稿に必要な要素


ダイナミック広告の出稿に必要な要素は、次の2つです。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.商品の詳細なデータを格納する「データフィード」
ダイナミック広告の配信では、商品の各種情報を記録した「データフィード」を作成します。なお、フィードのフォーマットは媒体によって異なるため、各媒体に最適化したフィードを用意しましょう。
3-2.ユーザーの行動を認識する「タグ」
ダイナミック広告は、タグで取得したユーザーの行動情報とデータフィードの商品情報を参照して広告を最適化しています。そのため、基本的には全てのページにタグを実装しなければいけません。タグを設置していないページがあると、正確なターゲティングができなくなるので注意が必要です。
4.ダイナミック広告に対応している広告媒体


ダイナミック広告の配信に対応している主な広告媒体を6つご紹介します。
4-1.Google広告
Googleが提供するディスプレイ広告の1つである「Google動的リマーケティング広告(GDR)」。Google検索の検索結果表示画面だけではなく、食べログやYouTubeなども含むGoogleディスプレイネットワーク(GDN)の提携先にも広告が配信されます。ユーザーの目を引きやすい箇所に表示されるため、一般的なバナー広告よりもコンバージョン率が高くなる傾向にあります。
4-2.Yahoo!広告
Yahoo!広告では、動的ディスプレイ広告(Dynamic Ads for Display)という名称のダイナミック広告を配信できます。Yahoo!のコンテンツだけではなく、Amebaやクックパッド、朝日新聞デジタルなど、数多くの提携先に配信されるため、幅広いユーザー層へのリーチが可能です。類似しているユーザーを分析して、関連性の高い商品を提案することもできます。
4-3.Criteo
フランスの企業が提供しているダイナミック広告の代表的なサービスです。ビッグデータを活用した独自のアルゴリズムによって、ユーザーにパーソナライズされたダイナミック広告を配信しています。
4-4.Facebook広告
実名登録制が基本のFacebookでは、正確な属性データを基にした精度の高いダイナミック広告を配信できます。「カルーセル」や「ストーリーズ」といった、多彩なフォーマットが用意されているのも特徴です。広告はFacebookのほかに、InstagramやAudience Networkにも配信されます。
4-5.LINE広告
日本最大級のSNSとして知られているLINEでは、「LINE Dynamic Ads」というダイナミック広告プロダクトを利用することができます。LINEニュースやLINEマンガ、LINE BLOGなどにも配信されるため、他の広告媒体ではリーチが難しいユーザー層への訴求も実現するでしょう。
4-6.RTB HOUSE
RTB HOUSEは、ディープラーニング型の学習技術を活用したダイナミック広告配信を行っている、広告媒体です。サイトへの来訪歴や滞在時間、購入段階での行動など、さまざまな情報を一元管理して精度の高い予測を実現しています。自社の顧客に類似した未接触ユーザーへの配信も可能です。
5.ダイナミック広告の運用と改善方法


ダイナミック広告の運用と改善に重要なポイントは、次の2つです。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.データフィードとクリエイティブの関係性を意識する
ダイナミック広告ではデータフィードに登録した商品画像やタイトル、価格を基に広告が自動生成されるため、フィードの内容がクリック率に大きな影響を与えます。
例えば、セール品の広告に対するクリック率が悪い場合には、具体的な割引率をデータフィードに登録してクリエイティブに表示させる、などの改善が求められるでしょう。アパレル商材であれば、ブランド名を商品タイトルの先頭に配置する、といった工夫が必要になります。
一般的な広告のように広告自体のテキストやバナーの改善ではなく、データフィードとの関連性を意識して広告の改善に着手することが大切です。
5-2.出稿媒体別の特性を理解する
広告媒体の特性を理解していなければ、設定したターゲットにリーチできません。幅広いユーザーにアピールしたいのであれば、提携配信先の数が多いGoogle広告やYahoo!広告の利用が適しているでしょう。ターゲティングの精度の高さを重視するなら、Facebook広告の利用を検討してみてください。ターゲットが若年層であれば、LINE広告での配信が効果的です。
6.まとめ
今回の内容をまとめると、以下になります。
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ダイナミック広告の配信にはデータフィードとタグの準備をする手間はかかりますが、商品点数が多いほど効果も高くなるので、導入する価値は十分にあるでしょう。