

Web広告の効果を測定するためのタグを、「コンバージョンタグ」と呼びます。Web広告の運用には欠かせないタグなので、仕組みや活用方法をしっかりと確認しておきたいところです。
そこで本記事では、コンバージョンタグのメリットや取得の仕方、設置方法などについてご紹介していきます。Google広告とYahoo!広告に分けて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
1.コンバージョンとは
コンバージョン(Conversion)は「変換」や「転換」などを意味する言葉ですが、Webマーケティングの分野では「収益化につながるアクション」を指します。「CV」と略して表記されるのが一般的です。
コンバージョンの例としては、下記が挙げられます。
- 商品やサービスの購入
- 予約申し込み
- 問い合わせ
- 資料請求
など
2.コンバージョンタグとは


コンバージョンタグとは、広告の宣伝成果を測定するためのタグです。対象ページにタグを埋め込むだけでコンバージョンを計測できますが、広告媒体によって設置するタグは異なります。
なお、Web広告の分野では、下記のようなカウント方式を使い分けて分析することもあります。
- 総コンバージョン
ユーザーがアクションを1回起こすごとに、1コンバージョンとして計測する方法です。同じユーザーが10回アクションを起こした場合の総コンバージョンは、「10」になります。
- ユニークコンバージョン
総コンバージョンとは反対に、ユニークコンバージョンでは、同一ユーザーのアクションがカウントされるのは1回だけです。同じユーザーが10回アクションを起こしても、ユニークコンバージョンは「1」とカウントします。
- クリックスルーコンバージョン
ユーザーが広告をクリックして、そのままコンバージョンすることです。また、広告をクリックしたユーザーが30日以内にコンバージョンした場合もクリックスルーコンバージョンとしてカウントされます。なお、1 回の広告クリックで複数のコンバージョンが発生した場合は、最初のコンバージョンだけがカウントされます。
- ビュースルーコンバージョン
表示された広告をクリックしなかったユーザーが、自然検索など別ルートでコンバージョンしたときにカウントされます。広告がユーザーに与えた間接的な影響を測りたい場合に有効です。
2-1.コンバージョンタグが広告の効果を測定する仕組み
コンバージョンタグは、購入完了ページや登録完了ページなどの「サンクスページ」に設置して計測します。広告を経由したユーザーがサンクスページを表示すると、コンバージョンとしてカウントされる仕組みです。


カウントの対象となるのは、広告を経由してきたユーザーのみです。広告以外からの流入でサンクスページだけを表示しても、コンバージョンとしては計測されません。
3.コンバージョンタグ設置のメリット
コンバージョンタグを設置することで、主に次のようなメリットがあります。
- 費用対効果の高い広告戦略が実現する
- 自動入札を導入できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.費用対効果の高い広告戦略が実現する
広告単位で宣伝効果が分かるため、「成果の高い広告に予算を集中させる」などの効率的な広告運用が可能です。成果が得られていない広告の予算削減や訴求内容の変更も、データを基にして客観的に判断することができます。
3-2.自動入札を導入できる
自動入札とは、AI(機械学習)によって入札単価を調整してくれる機能です。広告運用の手間が省けるだけでなく、広告費の削減も期待できる便利な機能ですが、より正確性の高い単価調整を行うには、AIに学習させるために、コンバージョンタグで収集したデータが必要になります。
4.Google広告のコンバージョンタグ


Google広告でコンバージョンを計測するには、次の2種類が必要です。
- グローバルサイトタグ
コンバージョントラッキングに不可欠なタグです。計測したいサイトの全ページの<head>~</head>に設置します。グローバルサイトタグを設置することで、ユーザー情報や行動を正確に追跡できるため、計測精度の大幅な向上が期待できます。
- イベントスニペット
コンバージョンを計測したいページやボタンに設置するタグです。グローバルサイトタグとの連携でコンバージョンを計測します。イベントスニペットは、イベントを発生させるページのグローバルサイトタグ直後に設置します。
5.Google広告のコンバージョンタグ設置方法
Google広告のコンバージョンタグを設置する方法は2つあります。
- Webページに直接設置する
- Googleタグマネージャー(GTM)で設置する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.Webページに直接設置する方法


2.画面左上の「+」を選択して、新規コンバージョンアクションを作成


3.トラッキングするコンバージョンの種類を選択
※ここでは「ウェブサイト」を選択


4.「カテゴリ」「コンバージョン名」「値」「カウント方法」などを選択し、「作成して続行」をクリック


5.タグを設定する画面が表示されるので、「タグを自分で追加する」を選択


6.「グローバルサイトタグ」と「イベントスニペット」が表示されるので、ダウンロードする


7.次のページで「完了」をクリックすれば、タグの取得は終了
ダウンロードしたグローバルサイトタグとイベントスニペットは、計測したいページの<head>内に貼り付けましょう。
5-2.Googleタグマネージャーで設置する方法


2.「アカウント設定」「コンテナのセットアップ」などを行ってアカウントを作成


3.利用規約に同意すると、Googleタグマネージャーをインストールするためのコードが表示されるので、計測したいWebサイトの<head>タグ内に貼り付ける


4.コードの貼り付けが完了したらGoogle広告アカウントにログインして、画面右上の「ツールと設定」→「コンバージョン」の順に選択


5.画面左上の「+」を選択して、新規コンバージョンアクションを作成


6.トラッキングするコンバージョンの種類を選択
※ここでは「ウェブサイト」を選択


7.カテゴリ」「コンバージョン名」「値」「カウント方法」などを選択して「作成して続行」をクリック


8.タグを設定する画面が表示されるので、「Googleタグ マネージャーを使用する」を選択


9.「コンバージョン ID」と「コンバージョン ラベル」が表示されるので、コピーなどをして保存する
10.Googleタグマネージャーに戻り、「新しいタグを追加」を選択


11.識別しやすいタグの名前を入力して、タグの設定マークをクリック


12.タグタイプは「Google広告のコンバージョン トラッキング」を選択


13.保存しておいた「コンバージョン ID」と「コンバージョン ラベル」を入力


14.画面下の「トリガーマーク」をクリックしてトリガーを追加


15.トリガーとなるページのURLを設定して、「保存」をクリックすれば完了です。
6.Yahoo!広告のコンバージョンタグ設置方法
Yahoo!広告のコンバージョンを計測するタグの設置方法は、Webページに直接設置する方法とタグマネージャーで設置する方法があります。
6-1.Webページに直接設置する方法
Yahoo!広告アカウントで取得したコンバージョンタグを、HTMLに直接記載する方法です。
- 広告管理ツールでコンバージョンタグを生成する
- 生成したタグを計測したいページに設置
- 広告管理ツールの「ツール」「キャンペーン管理」「レポート」タブで測定結果を確認する
6-2.タグマネージャーで設置する方法
タグマネージャーで設置する際の手順は、次のとおりです。
- Yahoo!広告アカウントで取得したコンバージョンタグをタグマネージャーに登録
- トリガー設定でコンバージョンタグが発火するページを設定
- タグを有効化する
ITPに対応するためのタグ


ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、Apple社が実施しているセキュリティ対策のことです。Apple社では、セキュリティやプライバシーの観点から、同社のブラウザ「Safari」を使用した際に外部サイトのCookie情報を削除するようにしています。
Cookie情報が引き継げないとユーザー行動が追跡できなくなるので、広告を経由したかどうかの識別は不可能です。この問題を回避するため、各社で独自のタグを開発しています。
7-1.コンバージョンリンカータグ
コンバージョンリンカータグは、Google広告がITP対策のために開発したタグです。Googleタグマネージャーでコンバージョンタグを設置した場合には、以下の手順で設定が必要です。
1.Googleタグマネージャーの管理画面にログインし、画面左側にある「タグ」→画面右上の「新規」をクリック


2.コンバージョンタグタイプは「コンバージョンリンカー」を選択


3.トリガーは必ず「All pages」を選択


4.「保存」を押して設定完了です。
7-2.サイトジェネラルタグ
サイトジェネラルタグは、Yahoo!広告で使用するITP対策のタグです。設定手順は以下になります。
- Yahoo!プロモーション広告の管理画面で、自動タグ設定を「オン」にする
- アカウント設定情報の「サイトジェネラルタグを表示」をクリック
- 表示されたコードをコピー
- サイト内全ページの<head>タグ直後にコードを設置
まとめ
今回の内容をまとめると、以下になります。
- コンバージョンタグとは広告の宣伝成果を測定できるタグ
- 広告媒体によってコンバージョンタグが異なるので注意
- 正確なデータの計測にはITPに対応したタグの設置が必須
コンバージョンタグを活用すれば、費用対効果の高い広告運用が実現します。設置や扱い方は難しくありませんので、積極的に活用してみましょう。