KPIツリーとは?Webマーケティングで重要な理由や作り方を5ステップで解説
Web広告やSEOなどのWebマーケティングにおいては、迅速に課題の発見と改善策の展開をすることが重要です。
しかし、十分な知識や経験がないために「そもそも課題を発見できない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのがKPIツリーです。
KPIツリーを作成し、各KPIの状態を可視化することで、パフォーマンスの良い要因と悪い要因が発見できるため、迅速な改善点の特定やリソースの最適化などが可能になります。
本記事では、KPIツリーのメリット・デメリットや作り方、おすすめの作成ツール、成果を出すポイントなどを解説します。
ぜひ本記事を参考にKPIツリーを活用して、WebマーケティングのPDCAを効果的に回してみてください。
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目次
1.そもそもKPIとは
KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略で、マーケティングや営業活動の成功を評価するために使用される測定可能な値です。
対して、KGIはKey Goal Indicator(重要目標達成指標)の略で、マーケティングや営業活動の最終目標を示します。
KPIを設定することで、適切に各施策のパフォーマンスを評価し、データに基づいた意思決定を行えます。
例えば、リスティング広告のKGI(最終目標)が「売上アップ」だとしましょう。
この目標を達成するためには、広告の表示回数やクリック数、コンバージョン数などをKPIに設定します。
各KPIを測定することで、「低いクリック数が課題」のように効果的に改善点を特定できます。
このようにKPIを設定すれば、効率よく施策のPDCAを回せ、成果へとつなげられるでしょう。
2.KPIツリーとは
KPIツリーとは、KGIを頂点としてKPI を論理的かつ体系的に整理して視覚化したフレームワークのことです。以下3つの要素で構成されています。
- KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標。最終的な目標数値
- CSF(Critical Success Factor):重要成功要因。KGI達成に必要なプロセス
- KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標。CSFを数値化したもの
分かりやすいダイエットの事例でKGI・CSF・KPIを見ていきましょう。
- KGI:3ヵ月で5キロ減
- CSF:食事制限、運動
- KPI:1日当たり240キロカロリーの消費
KPIツリーの構成要素が分かったところで、KPIツリーについて見ていきましょう。
先ほどのダイエットの例をKPIツリーに落とし込んだものが下記画像になります。
KPIツリーの作成により、CSFやKPIが整理され、直感的に理解できるようになりました。
2-1.KPIツリーとロジックツリーの違い
ロジックツリーとは:
課題を分解して具体的な原因や解決策をツリー上に書き出し、有効な解決策を見つけるフレームワークのこと。
ロジックツリーには、要素分解ツリーや原因追及ツリーなどさまざまな種類があり、その1つがKPIツリーとなっています。
つまり、KPIツリーはロジックツリーの一種というわけです。
3.KPIツリーを作成する真の目的
KPIツリーを作成する目的は、各KPIの達成状況を適切に把握し、改善点の特定へと
つなげることです。
Webマーケティングにおいては、見るべきKPIが多々あります。例えば、リスティング広告の運用だけを見ても、少なくとも下記のKPIを追跡しなければいけません。
- 広告の表示回数
- クリック率
- コンバージョン率
- クリック単価
- ROAS(費用対効果)
- 広告ランク
コンバージョン率が低い場合、その原因としてクリック率やLP(ランディングページ)の離脱率、品質スコアなどが考えられます。
さらに分解すれば、広告の表示回数やLPのユーザー体験などが原因となるでしょう。
このように、施策の改善点を特定するためには、各KPIを細かく分解する必要があります。
KPIツリーを作成すれば、漏れなくKPIを可視化できるため、迅速に課題の特定と改善策の実行ができるようになるのです。
4.KPIツリーを作成するメリット
KPIツリーを作成するメリットは以下の3つです。
- 指標の明確化
- 不要なKPIとCSFの排除
- ボトルネックの特定
ここからは、各メリットの詳細を解説します。
4-1.指標の明確化
KPIツリーは、最終目標であるKGIをKPI単位に細かく分解して作成します。
目標達成に必要な要因を、分かりやすく可視化できるため、漏れなくKPIを洗い出せるでしょう。
4-2.不要なKPIとCSFの排除
KPIの作成で重要なポイントは、最も重要な数値だけに絞ることです。
ありとあらゆる指標を設定しても、効果的な目標達成はできません。
そもそもKPIとは、「重要」業績評価指標のことです。
重要ではない指標をKPIに設定すると、どの施策を推進すべきなのか分からなくなり、施策の混乱を招くリスクが生じます。
KPIツリーとして、細かな要素を可視化すれば、不要な指標の排除ができるでしょう。
なお、KPIの鉄則としてKGIの数値に影響を与える指標でなければならない。
具体的にさきほどのダイエット事例でご紹介しましょう。
例えば、1日当たり240キロカロリーの消費をKPIに設定しました。それでは、このKPIが未達の場合にどうなるでしょうか?
おそらく目標より少ない消費カロリーとなり、脂肪燃焼効果が減少することで、目標体重を達成するまでの期間が延長してしまうかもしれません。
このように、KPIは不要な指標を削除することはもちろん、KGIに影響を与えるものでなければならないという原則があるため、ぜひ意識をしてみてください。
4-3.ボトルネックの特定
KPI ツリーは、目標に関するさまざまなパフォーマンス指標を明確に示すため、ボトルネック(改善点)の特定に役立ちます。
例えば、KGIが「コンバージョン率の向上」の場合、ランディングページのパフォーマンスやCTAボタンのクリック率などがKPIです。
KPIツリーの作成で、KPIの一つである「ランディングページの読み込み速度」が遅いと判明した場合、読み込み速度に関する改善策に取りかかれます。
一度KPIツリーを作成することで、ボトルネックの特定ができるようになるでしょう。
5.KPIツリーを作成するデメリット
KPIツリーを作成するデメリットは以下の通りです。
- 作成に時間がかかる
- 定性的評価はできない
ここからは、各デメリットの詳細を解説します。
5-1.作成に時間がかかる
複数の部門や目標を持つ大組織の場合、KPIツリーの作成に膨大な時間がかかる恐れがあります。
例えば、売上アップをKGIとして各部門を巻き込んだ包括的なKPIツリーを作成する場合、データ収集やKPIの定義、階層関係の構造化に時間がかかるでしょう。
また、KPIツリーは作成して終わりではなく、定期的な維持と更新が必要です。
リソースが限られている中小企業やチームでは、継続的にKPIツリーを管理することは困難かもしれません。
5-2.定性的評価はできない
KPIツリーは、測定可能な指標に重点を置いているため、定性的な指標や長期的な戦略目標を十分に把握できない可能性があります。
例えば、顧客ロイヤルティやブランド認知度などはブランドの成長には欠かせませんが、定量化できない要素のため、KPIツリーに加えるのは困難です。
KPIツリーによるデータ主導のKPIと定性的な評価のバランスを取らなければいけません。
6.KPIツリーの作り方を5ステップで解説
KPIツリーについての理解を深めたところで、実際に作成しながら手順を解説します。基本の作成ステップは以下のとおりです。
- KGIの設定
- プロセスの洗い出し
- CSFの絞り込み
- KPIの決定
- 最終チェック
なお今回はスプレッドシートを使って、KPIツリーの作成をしていきます。それでは、各手順の詳細を見ていきましょう。
6-1.STEP1:KGIの設定
まずは達成したいKGIを設定します。
今回はアプリを開発するスタートアップ企業が、下半期に月間アクティブユーザー数を増やすことを目的にKPIツリーを作成すると仮定します。
6-2.STEP2:プロセスの洗い出し
KGI達成のために必要なプロセスを洗い出していきます。
この段階では、運用性は重視する必要はありません。営業やマーケティング、製品開発などさまざまな部門のメンバーを集めて、ブレインストーミングをしましょう。
特に顧客解像度の高いメンバーが加わることで、質の高いブレインストーミングに期待できます。
月間ユーザー数を増やすプロセスを洗い出すため、まずは月間ユーザー数を下記のように分解してみます。
- 月間ユーザー数 = 新規ユーザー + リピートユーザー + 再アクティブユーザー
方程式を見れば分かるとおり、月間ユーザー数を増やすためには、「新規ユーザー」「リピートユーザー」「再アクティブユーザー」を増やす施策を展開するのが有効でしょう。
このようにプロセスの洗い出しに悩んだ場合は、KGIを方程式に直すのが有効です。
リスティング広告のコンバージョン単価の改善が目的なら「LPの改善 + コンバージョン率の高いユーザー増加 + コンバージョン率の低いユーザー数の減少」といった方程式が考えられます。
本題であるプロセスの洗い出しに戻りましょう。
今回は新規ユーザーの獲得方法と既存ユーザー維持の施策を考え、KPIツリーに落とし込みました。
6-3.STEP3:CSFの絞り込み
洗い出した施策のなかで、運用性の観点から高い効果を見込める「重要」施策を選定します。
例えば、リピートユーザーの行動を分析したところ、連続ログインするユーザーはリピーターになりやすいと判明しました。
一方、チュートリアルはユーザーの維持に影響を与えていないと分析したとします。
そこで、「チュートリアルの設置」を削除し、「成功体験の提供」「オーガニック検索」「Web広告」に関する施策の展開を決定することにしました。
施策を具体化し、KPIツリーに記載したものが下記画像です。
6-4.STEP4:KPIの決定
各CSFのKPIを決定します。今回の例の場合、下記KPIを設定しました。
CSF | KPI |
---|---|
キーワード最適化 | 3ヵ月以内にストアページ5位以内までランクアップ |
アプリページ改善 | 3ヵ月以内に高評価のユーザーレビュー数150件以上 |
リスティング広告 | 月に100件以上のコンバージョン |
Twitter広告 | 月に100件以上のコンバージョン |
ログインボーナスの提供 | 3日連続ログインユーザー数30%増加 |
6-5.STEP5:最終チェック
完成したKPIツリーを見て、KGIまでのフローが分かりやすく、整合性があるかどうか確認しましょう。
特に問題がなければ、KPIツリーに沿って施策を展開します。
また、KPIツリーは作成して終わりではなく運用しながら、改善をする必要があります。
定期的にKPIの達成状況を確認し、KPIツリーの改善を行いましょう。
7.KPIツリーの作成におすすめのツール3選
KPIツリーの作成におすすめのツールは以下のとおりです。
- エクセル/スプレッドシート
- Canva
- MindMeister(マインドマイスター)
各ツールの詳細をご紹介します。
7-1.エクセル/スプレッドシート
エクセルやスプレッドシートを使えば、容易にKPIツリーを作成できます。実際に本記事でご紹介したKPIツリーは、スプレッドシートで作成したものです。
エクセル/スプレッドシートでKPIツリーを作成する場合、まずはデータを入力し、グラフより組織図もしくは階層構造を選択することで完成します。
予算管理や進行表などの業務にかかわる情報を一括で管理できるため、KPIツリーの更新を容易に行えます。
7-2.Canva
Canvaは無料のデザイン作成ツールです。豊富なグラフィックやテンプレートを活用すれば、直観的な操作でKPIツリーを作成できます。
エクセルやスプレッドシートよりもデザイン性に優れており、直観的に理解できるKPIツリーを作成したい場合におすすめ。
7-3.MindMeister(マインドマイスター)
MindMeister(マインドマイスター)は、オンラインで使える無料のマインドマップ作成ツールです。
2007年にリリースされ、累計ユーザー数は2,700万人を突破しました。
最大の特徴は、無駄を徹底的に省いたデザイン。
直観的な操作で、容易にKPIツリーの作成ができるでしょう。また、MeisterTask(マイスタータスク)と連携すれば、各KPIのタスク化や担当者の割り当てができます。
8.KPIツリー作成で成果を上げるポイント
最後にKPIツリー作成時の注意点を解説します。以下4つのポイントを意識しながら、KPIツリーの作成をしていただければと思います。
8-1.KPIを設定しすぎない
KPIツリーの作成におけるよくある失敗は、KPIを多く設定しすぎて、本当に追うべきKPIが分からなくなることです。
KPIとは、施策がうまくいっているかどうかを判断するための指標のこと。
そのため、KGIに直接的な影響を与えない無駄なKPIを設定してしまうことは避けなければなりません。
またKPIの数が多すぎる場合、すべての指標を正確に追うことはできないため、施策を推進するのかどうかの判断は難しいでしょう。
だからこそ、KPIツリーには重要なKPIだけを記載しなければいけません。KPIツリーの大枠を作成したら、不要なKPIは削除するようにしましょう。
8-2.先行指標と遅行指標を意識する
先行指標と遅行指標を意識することで、整合性のとれたKPIツリーを作成できます。
- 先行指標:商談数やコンバージョン数などの将来のビジネス状況を予測するための指標
- 遅行指標:売上や利益など、過去のビジネス状況を予測するための指標
先行指標と遅行指標の特性を踏まえると、KGIに近いほど遅行指標であるべきです。
つまり、KPIツリーの上流は遅行指標、下流になるほど先行指標になっているか確認しましょう。
8-3.関連するメンバーと共有する
KPIツリーを作成したら、関連する全メンバーと共有するようにしましょう。
マーケティング施策に関するKPIを作成したら、マーケティング部に所属するメンバーと共有します。
経営戦略に関するKPIツリーを作成したら、営業やマーケティング、製品開発などの関連する全部門で共有します。
KPIツリーを共有すれば、戦略の見直しをする際にも、スムーズにメンバーへ伝えられるため非常に便利。
また、全メンバーがKPIを意識しながら業務に取りかかれるため、効果的な目標達成も見込めます。
KPIを共有する際は、覚えやすい数値の設定と具体的な施策を記載するようにしましょう。
8-4.定期的に振り返る
KPIツリーを振り返りに活用すれば、次の施策につながるノウハウを蓄積できます。
施策がうまくいかなかった原因を考える際、俯瞰的な視点が重要です。
KPIツリーを活用すれば、施策全体を確認できるため、効果的に原因を見つけられるでしょう。
定期的にKPIツリーの振り返りをすることで、うまくいった要因とうまくいかなかった要因を把握でき、次の施策を効果的に展開できるようになります。
9.KPIツリーで課題を洗い出しOptmyzr(オプティマイザー)で改善
ここまで見てきたように、KPIツリーの活用により、課題の洗い出しや優先順位が可能になります。
しかし、「課題を特定すること」と「有効な改善策につなげること」は別物です。
特に、リスティング広告で最適な改善施策につなげるためには、豊富な経験や知識が必要です。
例えば、クリック率の低下が原因と判明しても、その改善策として広告文やターゲット設定、キーワード設定の見直しなどさまざまな施策が考えられます。
むやみに改善施策を実施しても、貴重な予算を消化してしまうリスクが高い傾向があります。
そこでおすすめしたいのが、リスティング広告運用自動化ツール「Optmyzr(オプティマイザー)」です。
Optmyzrに搭載されている高精度のAIは、下記のような機能を提供します。
- 24時間365日のキャンペーン監視とアラート通知
- キーワードの追加/除外提案
- 手動入札の最適化
- 広告テキストのパフォーマンスの可視化
- 自動化ルール作成
- レポート作成
AIが膨大な広告データを分析し、最適化のための改善案を提案してくれるため、経験やノウハウがなくともデータドリブンの施策展開が可能です。
また、リスティング広告業務の大半を自動化できるため、広告の見出し作成やメールマーケティング、SEOなど他のマーケティング業務に注力できるようになるでしょう。
10.まとめ
KPIは事業目標達成に必要なプロセスと目標数値を明確にする強力な指標ですが、適切に使用しなければ期待した成果は出ません。
KPIツリーを作成することで、目標達成までに必要な行動や数値を整理でき、戦略的に施策の推進を行えます。
スプレッドシートやマインドマップを使えば、容易にKPIツリーを作成できるので、本記事を参考に挑戦してみてください。
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