

リスティング広告の運用を開始するにあたり、「どのくらいの費用をかけるべきなのか?」や「費用の決め方がわからない」と悩む方は少なくありません。
リスティング広告には最低出稿金額がないため、いくらからでも運用を開始できます。しかし、リスティング広告で最短で成果を出すには、適切な費用設定は欠かせません。
本記事では、リスティング広告の料金が決まる仕組みを解説したのち、最適な費用の計算方法や相場、費用をおさえるポイントをご紹介します。
1.リスティング広告の費用が決まる仕組み


リスティング広告にかける最適な費用を知るためには、費用が決まる仕組みを理解する必要があります。GoogleやYahoo!などのリスティング広告の順位と費用は、オークション形式で決まります。
オークション形式とは: 特定のキーワードに対して、複数の広告主が広告を出稿する場合、上限クリック単価(入札額)と広告品質を掛け合わせた「広告ランク」で掲載順位が決定するという仕組み。 |
具体例を見てみましょう。
広告主 | 上限クリック単価 | 広告品質 | 広告ランク | 掲載順位 |
A | 100円 | 8 | 800 | 1位 |
B | 120円 | 6 | 720 | 2位 |
C | 90円 | 6 | 540 | 3位 |
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つまり、単に上限クリック単価を高くするだけでは、広告を上位には掲載できません。
広告主が支払う費用は、下記の計算式で算出できます。
クリック単価(円)= 自社広告1つ下の広告の広告ランク ÷ 自社広告の品質スコア + 1 |
広告主Aのクリック単価は 「720 ÷ 8 + 1 = 91円」となります。
Aの広告が月に100回クリックされると、月9,100円の費用が発生する仕組みです。
広告品質を高めれば、掲載順位を上げながら、クリック単価を下げることが可能になる。 |
2.リスティング広告にかける最適な費用の計算方法


リスティング広告にかける最適な費用の計算方法は、主に次の3種類です。
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ここからは、3つの計算方法を解説します。
2-1.成果目標から最適な費用を計算
リスティング広告にかける費用の一般的な算出方法が、成果目標からの逆算です。
まずは商品の販売や問い合わせ数などの、リスティング広告で獲得したい成果を明確にしましょう。
成果を明確にしたら、成果1件あたりの収益額を算出します。
【例】
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成果1件当たりの収益額は、リスティング広告の成果1件あたりにかけられる費用の上限額となるため、丁寧に算出しましょう。
成果と収益額を出したら、1ヵ月の運用で得たい成果数を決めて、広告費用の上限額を計算します。
具体例を見てみましょう。
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この例の場合、上限広告費用は100,000円です。しかし、上限広告費用をかけると、実際には利益が残りません。そのため、上限広告費用を下回る金額で予算を設定します。
2-2.クリック単価から最適な費用を計算①
リスティング広告運用の詳細な目標が定まっていない、もしくは目標がサイト訪問の場合は、クリック単価の相場から広告費用を計算できます。
広告費用 = 目標クリック数 × クリック単価 |
クリック単価は、広告を出稿するキーワードによって異なります。
Googleキーワードプランナーを使えば、指定のキーワードの想定クリック数やクリック単価、検索ボリュームなどの確認が可能です。
2-3.クリック単価から最適な費用を計算②
一般的に、リスティング広告のクリックから資料請求や商品購入などのコンバージョンにつながる割合は1%と言われています。
つまり、広告が100回クリックされて1回コンバージョンを得られるのです。この点を踏まえると、下記計算式で費用を算出できます。
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【例】 クリック単価100円の場合
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この計算法の注意点は、コンバージョン率1%は目安ということです。実際には、コンバージョン率は1%よりも高いもしくは低い可能性があります。
そのため、リスティング広告の運用で自社のコンバージョン率が判明したら、そのコンバージョン率を加味して予算調整をしましょう。
2-4.損益分岐点から計算
損益分岐点とは、黒字と赤字の境目です。損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字になります。
「販売額10,000円の商品」 – 「6,000円の製造費や人件費など」= 利益4,000円 |
つまり、リスティング広告費用が4,000円を超えると、赤字となります。
一方、3,000円を費用に設定すると1,000円の利益が出ます。成果の目標が50個の場合、「 3,000円 × 50個 = 150,000円 」が予算になります。
3.リスティング広告の費用相場


リスティング広告の一般的な予算は、月20~30万円です。
例えば、月の費用が30万円の場合、1日あたり1万円をリスティング広告に投下でき、クリック単価100円で広告配信できると、1日100クリックは得られます。
平均的なコンバージョン率は1%なので、月30万円だと1日1件の成果を得られる理論となる。 |
しかし、これはあくまでも理論上の話であり、実際には成果が発生しない日があれば、複数の成果が発生する日もあります。
広告運用開始の月に、20~30万円の費用をかけられると理想です。しかし、20万円が負担になる場合は、10万円以下から開始しても問題ありません。
リスティング広告の魅力は、最低出稿額が存在しないため、気軽に取り組めること。 |
4.リスティング広告の費用をおさえるポイント


以下では、リスティング広告の費用をおさえる4つのポイントを解説します。
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4-1.除外キーワードの設定
除外キーワードとは、広告を配信しないキーワードのことです。リスティング広告の運用を開始すると、クリックされてもコンバージョンにはつながらないキーワードが出てきます。
成果の出ないキーワードは、費用対効果悪化の原因となるため、除外キーワードを設定する。 |
また、リスティング広告の目的は新規顧客の創出や集客です。そのため、事前に既存顧客が使うキーワードを除外設定するのも有効です。
4-2.マッチタイプの設定
リスティング広告には、部分一致・フレーズ一致・完全一致の3種類のマッチタイプがあります。
広告費用をおさえたい場合は、登録キーワードと検索クエリが完全に一致した際にのみ配信される「完全一致」を活用するのがおすすめ。 |
ただし、マッチタイプは適切に設定しなければ、広告配信の機会損失へとつながります。そのため、事前にマッチタイプの詳細について理解してから、設定をしましょう。
4-3.広告品質の向上
「リスティング広告の費用が決まる仕組み」でお伝えした通り、クリック単価は広告品質で決まります。広告品質を高めれば、少ない費用で上部に広告配信できるのです。
広告品質は、以下3つの要素で決まります。
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特に重要な要素が、検索クエリと広告文の関連性です。
ユーザーニーズを反映した広告文を作成すれば、自然とクリック率は高まり、ランディングページへの訪問者数が増えます。結果的に、広告品質も高まる良い循環が生まれるのです。
4-4.ターゲティングの設定
ターゲティング機能を使えば、ユーザー属性や地域、時間、デバイスなどを絞って広告配信できます。
【例】
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必要に応じてターゲティング設定をし、最適なユーザーに広告を配信しましょう。
4-5.分析と改善
リスティング広告の費用を最適化するためには、定期的な広告パフォーマンスの分析と改善が必要です。
【例】 想定よりも予算が伸びそうな場合は、成果の発生率が高そうなキーワードに集中する手がある。 |
逆に予算が余りそうな場合は、新たなキーワード選定や上限クリック単価の引き上げなどが有効です。
クリエイティブや選定キーワード、除外・マッチタイプの設定などの分析と改善を繰り返せば、予算内で効果を最大化する広告運用ができる。 |
5.まとめ


リスティング広告の費用計算方法は、大きく以下の3つです。
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基本的には、成果目標から広告費用を計算するのがおすすめです。しかし、リスティング広告の最適な費用は、実際に運用してみないと把握できません。
まずは少額出稿をし、広告のパフォーマンス状況に応じて、予算調整をしましょう。
さらに詳しくリスティング広告の改善について知りたい方は、「リスティング広告で成果を出す3つのポイント」をご覧ください。